第39話 人影の正体は……?
人影達が怖くて服の中に隠れる。紫月とクラーは一旦その部屋から出て扉を閉めたみたいで一息ついていた。
「なんなの、あれ?凄い不気味なんだけど」
『あれは、私とグイスとワルトが魔石を採りに行った時にいた奴と似ています。なんであんなものがここにもいるのでしょうか?』
「似ている……?それってどこが違っていたの?」
『それはよく見ると明らかに動物と思われるところが何ヶ所もある事です。前の時は完璧に人間の形をしていましたがここではそうでした。なのでもしかするとあまり言いたくはないのですが、この森の動物達がなんらかの実験体で使われてこの人影達になったではないでしょうか。あくまで推測ですので信用は出来ませんが』
……それってここの人間達がやったって事だよね?そんな事をしてなにがやりたいんだ人間達め!
こんな事をした人間達には報いを受けさせなければいけないよな?後でじっくりと殺してやる!どこの国の人間がやったんだ?
「色、ちゃん、痛い、痛、い、痛い、痛い!痛い、から力、弱め、て!」
あっ!怒りのせいで思わず思いっ切り握り締めていた。ふっと力を抜く。
『ごめん紫月。思わず力が入っちゃって……。これも言い訳になっちゃうんだろうけど、本当にごめんなさい!』
「はぁ……はぁ……、だっ……だいじょ……うぶだ……から……、気にし……ないで……」
ど、どうしよう?私のせいで紫月が!これはどうすればいいんだ……!?
駄目だ、こういう時こそ冷静になって考えれば良い案が思いつくはず!
そうだ!とりあえず冷静になる為に素数でも数えるんだ!えっと1、2、3、4、5、6……って普通に数えているだけじゃん!素数は2、3、5、だけど、そもそも1は素数でもないし4と6は他の数字が約数として入っているんで、素数じゃないから!
って脳内で一人突っ込みしている場合ではない!さっさと紫月を治してあげないと!紫月の痛い所にエネルギーを送って怪我を治す。 ……よし、これで大丈夫だと思いたい。
『紫月これで痛くない?大丈夫?』
「んっ、……。だっだい、じょうぶに……なったか、らあん……しんしっ、て……。でも……、ちょっと、力が……抜けてこれ……いじょ、う立てな……い……」
あっ、やってしまった……。手加減なしで普通どころか強めにやってしまったせいで、ちょっと……いやかなり説明出来ない状況になっているので紫月が落ち着くまでそっとしてあげないといけない。
それなりの時間が過ぎて紫月が復活した所で
『結局、あの人影達はどうするべきだと思う?』
「うーん……そうだね、ずっとあのままだとかわいそうだからひと思いに殺してあげるべきだと思うよ。私はね」
『私もそう思います。あの姿で生き続けるのは辛いと思われます』
『……そっか。じゃあ紫月扉開けてくれる?』
これは完全に私のエゴだけどなるべく痛みがないように殺すから、私が助けられる方法はこれぐらいしかないけど許してください。
「分かった。じゃあ、開けるね」
紫月が扉を開けた。私は祈るように言う。
『ごめんなさい、人間どもに実験として使われてしまった動物達さん。今度会う時は元気な姿で会えると信じてるから、またね』
部屋の中にいた人影達を一気にエネルギーに変えて森の方に向かわせて散らばらせた。これでまた森に帰れたね……。
その光景を見届けて良かったとひと安心したら疲れが出てきた。
『私、なんだか疲れたから一旦眠る事にするね。おやすみ』
「色ちゃん、おやすみなさい」『主様、おやすみなさい』
二人の声を聞きながら私は眠りについた。
色ちゃんが眠っているのを確認すると私はクラーの方を見て
「クラーさっさと全部見てこんな事を考えたと思われる糞みたいな国を見つけだそう。そしたら、二度とこんな事出来ないようにしてあげないとね!」
『勿論私もそうするつもりでしたよ。早くその証拠を見つけないといけませんね!』
「そうだね!じゃあ早速やろうか!」
こうして私達は片っ端から部屋を見ていく作業に戻った。
だけど、いくら探しまわってもそういう資料が一切見つからない。
「……どうしよう?全然見つからないのは予想外なんだけど」
『こういうのは大抵、どこかに隠し部屋があるのでは?』
隠し部屋か……。その発想はなかった!流石だねクラー!
「そうだね、隠し部屋を探してみようか。……でも隠し部屋ってどう探せばいいのか分からないよ」
『そうですね……。確かさっき地図を見つけましたよね?それを使って構造的におかしい場所を探せばいいのではないでしょうか?』
「なるほど!そう探せばいいんだ!ありがとうね、クラー!」
『いえいえ、当然の事をしただけですよ。私もあんな事をした連中を許せないので』
そうだよね。ちゃんと動物達の為にやり返してあげないといけないよね!その為にも早く見つけないと!
そう決心して地図を広げる。んーと……ここかな?
「それっぽい所見つけたよ!クラー早く行こう!」
『分かりました!こっちですね!』
私とクラーは隠し部屋がありそうな部屋に向かって行って入ってみるとそこはなにも置いていない殺風景な部屋だった。
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