第37話 施設を探索してみる
「そうなんだ。でも私はまだ見ていない所があるからここにいるかどうかまでは分からないかな……」
『そっかー。今更なんだけど、なんでここに来れたの?私、場所とか一切教えたりしなかったよね』
「……えっ?だって色ちゃんが教えてくれたんじゃないの?色ちゃんの声も聞こえてきたし、それを頼りにクラーと一緒に来たんだよ」
『いや、そんな事した覚えはないけど?しかも、辿ってこれたとかどうなってるの?訳が分からない』
そういえば人間達に囲まれたときにそんな事を思ったような気がしなくもないような?うーん。よく覚えてないから微妙な感じだね。
それが本当かどうかは知らないけどクラーも来てたんだ。クラーの事だから信じられなくて来ないと思ったのに意外だね。それだけヤバいと思ったのかな?まあ、実際大変な事になっていたから当たってはいるんだけどね。
「じゃああれはなんだったんだろうね?あれだけ色ちゃんの声に似ていたんだっていうか、色ちゃん以外に考えられないからきっと無意識にやったんじゃないかな。もう、そういう事にしておいていいんじゃない?これ以上考えても意味が無さそうだから」
『そうだね。そうしておこうかな』
「それじゃあ聞きたかった事を聞くけど、答えられなさそうだったら無理に言わなくていいからね」
『……分かった』
なにを聞かれるかはなんとなく分かっている。きっと勝手に逃げ出した事を聞かれるんだろうなと思ったから、覚悟を決める。
「じゃあ、聞くよ?なんで色ちゃんはあんなに怖くなっちゃってたの?なにか酷い事でもされちゃった?」
思っていたのと違うせいで思わず言ってしまう。
『……えっ?』
「……ん?どうしたの?どこかおかしかった?」
『思っていたのと違ったせいで思わず言っちゃっただけだから、気にしないで。じゃ私が怖くなっていた理由は簡単に言うと、大人数に囲まれたからだよ。これは私の心が弱いせいだから気にしないで』
「馬鹿だね、色ちゃん。私が気にしない訳がないじゃん。むしろ気にしまくりだよ?これからはちゃんと人間が多い場所には気を配るようにしちゃうし、しっかりとみんなに言って対策も考える必要も出てくるから会議しないといけなくなっちゃったじゃん!全く、どうしてくれるの?!」
……うーん。どうすれば良いんだろう?とりあえず言うべき事はこれしかないね!
『紫月ごめんなさい、それとありがとう!』
「うん!それでいいんだよ色ちゃん!さあ、話し合いはこの程度にしておかないとクラーが待たせ過ぎて怒っちゃうからこの部屋を出ようか」
『うん!そうだね!』
「色ちゃんはなにかあるといけないから、小さくなって私の服の中に隠れておいて」
確かに今回復したばかりだからちょっと不安定な感じなのは把握している。だからそうした方が良さそうと思った。
だから、素直に頷いて小さいサイズになって紫月の体を登って肩に行く。そして首の辺りに行き服の中に潜って少し上に行けば外が見えるような場所にした。
一応違和感がなさそうな場所にしたけど念のために聞いてみる事にした。
『紫月ここで大丈夫?邪魔になったりとかしない?』
「うん、邪魔じゃないから平気だよ。よし、行こっか」
紫月がドアの方に振り返ってガチャっとドアノブを回す。そのままドアを引いて廊下に出た。
えっ?なんで分かるかって?なんとなくってやつだよ。誰でもドアの近くでガチャって音がしたらドアノブが捻られた事は分かるでしょ?そんな感じだよ。
「クラー待たせたね!ちゃんと色ちゃんを正気に戻してきたよ!ほら!」
紫月が服をめくって私を見せる。でも紫月、その角度だと私が多分見えていないと思うよ?
と思った瞬間クラーが紫月と同じ位のサイズになって私を見る。
『そうみたいですね。それなら良かったです。かなり時間がかかっていたのでどうしたものかと思いましたがね。さて、この施設を隅から隅まで見てまわりましょうか。他になにかあるかもしれなせんしね』
紫月が服を元に戻す。……なんだろうさっきはなんとも思ってなかったけど、守られているみたいで大分安心する。このまま寝ちゃいそうな気がする。
「そうだね!色ちゃんが言っていた動物達の事も気になるし!」
『動物達ですか……』
やけに気になる言い方をするね。でもその反応だと微妙なところなのかな?
「ん?どうしたの?なにか気になることでもあった?」
『いやなんでもないです。なに事もなければ良いのですが……』
クラー、それフラグってやつだよ。言っちゃいけないやつ!多分碌な事がないよ。変なものとか出てきませんようにと祈ってみる。これでなにもないといいなー。無理そうだけど……。
「それならいいんだけど、なにかあったらちゃんと言ってね?」
『はい、分かっています。では近くから見ていきましょうか』
「うん。そうだね。早く行こう!私が先頭で行くね!」
『了解です』
紫月とクラーは歩きだした。なにかあるかなー?
少しの間二人はドアを開けては中を確認してドアを閉めるという作業を繰り返していると、ある部屋にそれはいた。
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