第36話 色ちゃんを助けに行く

 色ちゃんが逃げ出した後、私達は反省会(反省するのはほとんど私)を開いていた。みんなから説教をくらって流石にやり過ぎたと反省している最中に私はなにかを受信した。


(……ダレカ……タスケテ……)


 ……はっ!色ちゃんが助けを呼んでいる!早く行かないと私の色ちゃんが壊されちゃう!方角はこっちだね!クラーに乗せていってもらおう。


「クラー、行くよ!」

『紫月、まだ反省会の途中ですよ!』

「そんなにのんびりしていると、反省会どころの話じゃなくなっちゃうよ!早くしないと色ちゃんが!」

『……分かりました。では反省会は後という事で良いですね。主様に危機が迫っているのを見過ごせないです!』


 クラー以外のみんなが呆然としながら聞き流している。よし!この流れにのって言おう!


「もしなにかあったときには連絡するから、留守番お願いね!みんな!」


 私とクラーは急いで外に出る。そして私はクラーに乗って色ちゃんがいる方角を教えて飛び立った。

 かなりのスピードでクラーが飛んでくれているおかげで、少ししか経っていないのに色ちゃんがいるであろう森に到着した。後は具体的な場所さえ分かれば問題ないんだけど流石にそこまでは分からない……。どうしよう?


「クラー、色ちゃんがいる場所分かる?」

『はい。勿論分かりますよ。丁度少し開けている場所みたいなのでそこに降ります』


 やっぱりクラーを連れて来たのは正解だったみたい!流石クラーだね!

 クラーが着地した所の近くに変な円盤状のものがあった。もしかしてと思い、クラーを見たら頷いた。どうやらこの下に色ちゃんがいるみたい。真ん中に二人揃って乗る事にした。

 でもクラーが大きすぎてちょっと駄目そうだったから、手の平サイズになってもらい肩に乗っていく事になった。

 それで実際に乗ると、檻が出てきたから即座にエネルギーに変える。するとエレベーターみたいに降りていく。少し経つと止まった。

 一体なんだったんだろう?あの檻は。まさかあんなのに色ちゃんが引っ掛かったとか?いや、絶対にないよね。普通に私でもエネルギーに変えられるものだったからね。それは流石にないよね。まあ、色ちゃんが引っ掛かかったどうかは後で本人に聞いてみればいいかな?

 さてと、どう捜した方が良いんだろう?


「ねぇ、クラー。手分けして捜す?それとも、一緒にする?」

『ここは敵の拠点です。なので下手に別れると危険です。主様は一緒に捜しましょう』

「確かにそうだね。じゃあ手前から捜していこう」

『その必要はないようですよ?一番奥の部屋から主様がいるみたいです。ただし、気を付けて下さい。主様が恐怖にのまれているので』

 

 薄々分かっていたけどそっか。色ちゃん……。でも私達が絶対に助けてあげるからね!


「分かった。じゃあ、行こうか!色ちゃんを助けに」

『はい!』


 意を決して奥の部屋に向かっていく。入るその前に


「あまり色ちゃんの負担にならないようにまずは一人だけ入る事にしたいと思うんだけどクラーはどう思う?」

『そうですね……。確かにまずは一人だけの方が良いと思われます。私がドアの前で見張りをしておくので紫月は主様と話してあげて下さい』

「うん、ありがとうねクラー」


 一応ノックをしてみる。少し待ってみても返事が来ないので、これはご自由に入って良いですよという意味に勝手に解釈をしてドアノブを回して開ける。

 部屋のすみっこに普通サイズのトカゲ姿で色ちゃんはいた。かわいそうな事に明らかに身体が震えていて凄く怯えているのが分かる。残念ながらこの状態だと私は敵だと思われている可能性が高い。それならまだ近づかない方が良さそうだと思う。ドアはちゃんと閉めておこう。

 慎重にやらないと色ちゃんが駄目になっちゃうから気を引締める為に深呼吸をしておく。

 まずは声をかけてみよう。返事がちゃんと返ってくるかな?


「色ちゃん!私は誰だか分かる?」

「グルルルゥ!」


 これはどっちなのか分からないねと首を傾げているといきなり色ちゃんが飛び込んできた!しっかりと受け止めた。暴れる色ちゃんを抱きしめて背中を優しく撫でてあげる。


「大丈夫だからね。怖いものはなにもないからね。安心して良いから」


 優しい声でそう言ってあげると、暴れていた色ちゃんが大人しくなる。





 暗闇の中に少しの光が差し込んだ。それに縋るように追っかけると受け止められて光が広がっていく。それが心地好くて力が抜けていく。そのまま眠りについた。

 起きて目を開けると紫月に抱きしめられていた。んー……?なんでこうなっているんだろ?


「色ちゃん起きた?」

『起きたけど、ここどこなの?それになんで紫月に抱きしめられているの?』

「色ちゃん覚えていないの?色ちゃんが私に向かって飛び込んできたから受け止めたんだよ?後、ここはどこだかは私も分からないけど」

『そうなの?覚えてないや。 ……あっ!そういえば、動物達は見つかった?あそこの森に全然いなかったんだよ』


 動物達は一体どこに行ったんだろう?ちゃんと生きているといいんだけど……。

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