第35話 隠れ家ゲットだね

 やりたいことも出来たし、もうこのドラゴンには用はないからさっさとやりますか!


「どうした?逃げないのか?」

『逃げる?そんな必要はないよ。誰がお前雑魚ごときに逃げるとでも?』

「誰が雑魚だ!我はドラゴンだぞ!お前こそ、ただのトカゲだろうが!」

『残念ながら私はただのトカゲじゃないんだよね。まあお前ごときに教えるつもりもない。だからさっさと永眠してろ』


 私はドラゴンをエネルギーに変えて永眠させた。そのことをなんとも思っていない。ただ単に邪魔だったから消しただけなんだけど、普通の人間だったならなにか思ったのだろうかとふと思ってみる。まあ、どうでも良いんだけどね。

 さて、そんな事よりもここから脱出しないとね。どうすればいいんだろう?強引だけど私が入れるギリギリの大きさの穴を上に向かって開ければ出られるかな。それ位しか思い付かないから、やってみるしかないけどね。

 離れた場所からだと上手くいかない時があるから、また羽を生やして天井近くに飛んで行く。頭の上だとなにかあった場合大変な事になりそうだからちょっと離れた所に穴を開けていく事にする。えーっとこんなもんかな?

 覗いて開通しているか確認してみると、奥の方に少しだけ明るいのが見える気がするような?って感じだったから直接行ってみるしかないかな。実際に行ってみると上までちゃんと繋がっているみたいで普通に出れた。

 あれ?これってもしかしてずっと洞窟に隠れていれば見つかるのが大分遅くなるのでは?思わぬ所で隠れ家ゲットだね!よし!じゃあここを改造してゆったり出来るようにしてやる!

 早速洞窟の中に戻っていって色んな所を弄りまくる!薄暗いんだったら、上の明かりを利用して洞窟の中を明るく照らす。ご飯は明かりと魔素で賄えるし、トイレは必要ない!

 後は……寝る所位かな?洞窟内で寝やすい場所を探したけど、そんな所は見つからない。当たり前だよね。

 ……それだったら、適当に寝る場所を決めてそこら辺にある石を使ってエネルギーにしてから布団に変換して敷いてみたけど下が硬いせいで微妙になった。

 ならば、硬いのを軟らかくしてやれば良いじゃない!一旦布団を退かして布団より一周り大きい場所の範囲を柔らかいやつに変換すれば良いんだけど、柔らかいやつってなににすれば良いんだろう?

 羊毛はちょっと違うかな。マットとかかな?んー……。これ以上は思い付かないな。もうマットで良いか!考えるの面倒臭い!マットに変換して上に布団を乗せて寝てみる。うん!いい感じだね!これで改造はおしまいかな?

 上の様子も見ておかないとね。なにかあるかも知れないから。飛んで地上に出る。さっきは気付かなかったけど湖の近くだったんだ!……ん?という事は場所を間違えたら水が流れ込んできてた訳だよね。良かった下手に穴を開けなくて。

 念のために穴を補強しておこう。崩れたりしたら嫌だし見つからなくなっちゃうからね。

 補強も終わった事だし、もうちょっと周りを見て回ろうかな。湖の周りを飛んでいるとそういえば特になにもなかった事を思い出した。だから見なくても良かったなーと今更思った。

 このまま戻ってもやる事がないから、もっと遠くまで行ってみようかな。まだ明るいから。そう思って真っすぐ進んでいくと森があった。なんか気になるから行ってみよう。森の入り口近くに着地して羽を消してから森に入った。

 だけど歩いても歩いても動物に会わない。一体どうなってるんだろう?普通なら何匹かすでに会っていてもおかしくはないはずなのに……。

 そう思いながら適当に歩いていくと円盤の物体が地面から顔を少しだけ出していた。苔が所々に生えているけど明らかに金属で出来ていると思われる。これはなんなんだろう?良く分からないけど動物達がいないのはこれのせいなのかな?なんの根拠もないけどね。

 動物達は関係ないかも知れないけど個人的にも気になるし、まあ入ってみるしかないよね。入り口はどこにあるのかなー?うーんと、どこだろう?周りをうろうろしても見つからないから、真ん中に行ってみた。

 するとガチャッと音がして左右から檻の縦半分が出てきたと思ったら合わさるようにして檻の中に閉じ込められてしまった。でも隙間が大きいから普通に出れるから別に関係ないから平気だね。と油断していると檻が私の大きさに合わせて小さくなってしまった。

 これじゃ普通には出れないね。でもエネルギーに変えれば問題ないと思ったら、今度は私の周りだけ下がっていくんだけど?私はなにも出来ないまま遠くなっていく地上を眺めていた……。

 やっと降りるのが止まると奥に人間が何十人もいた。しかもいつの間にか囲まれている。無造作に檻ごと持ち上げられた時にはもう私が持たなかった。

 あの時のトラウマが甦って恐怖という感情が押し寄せてくる。でもそれに抗えずにどんどん沈んでいくような感覚。

 怖い……。怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖イ!こワイ!コワイ!コワイ!コワイ!コワイ!コワイ!コワイ!コワイ!コワイ!

 イヤダ!コッチコナイデ!モウ、アンナオモイハ、シタクナイ!イヤダ!イヤダ!イヤダ!イヤダ!イヤダ。イヤダ。イヤダ。イヤダ。イヤダ……。イヤダ……。イヤダ……。イヤダ……。

 ……ダレカ……タスケテ……。

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