第34話 子供って凄いな……
ここにこの子がいるのは少し心配だけどトカゲの身でなんとかなる問題でもなさそうだからこればっかりはどうしようも出来ないね。
まあ、邪魔者はさっさといなくなった方が良いと思うから行きますか。丁度痛みも引いてきたみたいだしね。
『じゃあ、邪魔者はとっとと消えるから。タオル持ってきてくれてありがとう。使った訳じゃないけどね。お礼に使えるかどうか分からないけど、綺麗な物あげる』
私は魔石を作って自分の隣に置く。こんなもんで良いだろう。
『さよなら』
「まって!あうのがこれっきりじゃイヤだよ!またおはなししたいもん!」
『いつかまた会えるからきっと大丈夫だよ。じゃあね』
敵として会うかそれとも味方として会うか微妙なあたりだけどね。そもそも、また会えるかどうかすらも怪しいけど……。そういえばさっきからずっと動いていないな
そろそろこの家から出ないと本当になにされるか分からないからさっさと行こう。えっと出口はどこだろうなー?キョロキョロと周りを見渡すけど構造が分からない……。こうなったら素直に聞くしかないよね。
『ねぇ、出口どこ?』
「んーとね、あっちだよ!ママ、とかげさんおみおくりしてくる!はい、とかげさんのって!もとのばしょにはこんであげる!」
差し出された手に乗る。やっとここから出られる!と喜びながら運んでもらっている途中に他の子供達が来た。えっと嫌な予感がするような……。
「ねえねえ!もってるのそれなーに?」「なにおもしろいのもってるんだ?」「おー!いいなそれ!おれにくれよ!」
「このこはとかげさんだよ!わたしのおともだちなんだよ!あと、とかげさんはものじゃないからあげることはできないよ!」
「えー!いいなー!わたしもともだちになりたい!」「これがとかげなのか」「なんだとー!じゃあおれもともだちにさせてくれ!」
なんだかごちゃごちゃしてきた。なにも起きない内に逃げないと!気付かれないように羽を生やしてそっと飛び立つ。よし、これなら行ける!と油断したせいなのか
「あー!とかげさんとんでるー!」「とかげさんってとべるんだ!」「まじか……」「すげー!」
ガッツリと見つかってしまった。ど、どうするのこれ……?とりあえず、もうこのまま行くか。
『じゃまた会えたら会おうね』
「「またねー!」」「「またなー!」」
といった感じでそこを離れたのは良いんだけど、なるべく家から離れた所に行かないと見つかるのが早くなって、せっかく逃げ出したのに意味がなくなる。遠いどっかに行きたいけどあの王様がいる国に行くのはちょっと嫌だなー。
たまには知らない所にでも行ってみるって事も良いよね。よし、そうしよう!そのまま家とは逆方向に向かって行くとそこには大きな湖がポツンとあった。
こういうのって周りとかに草とか生えているものじゃないの?一切生えていないけど。異世界だからなのかな?良く分からないや。
なにかあるかも知れないから下りてみよう!私は湖の近くに降りて羽を無くす。うん?なんか変な雰囲気がするような……?気のせいかな?周りを見てみても特にはなにもないんだよね。
でも一応警戒はしておこう。なにがあってもおかしくないしね。ヤバい……なんだか知ら……ないけど……眠く……なっ……。
はっ!周りを見渡してみる。どうやらここは洞窟みたいで薄暗くてちょっと見えづらいけど全く見えない訳じゃないから平気だけど。 ……んー?そういえばおかしい。私ちゃんと湖の近くにいたよね?なのになんで洞窟にいるの?近くに洞窟なんかなかったのに。
もしかして寝ている時にここまで移動したの?えっと寝相って言っていいのこれ?もはや夢遊病の域になってるよね?夢遊病って凄いんだね!
……話がそれてきたから戻そう。本当に、ここはどこなの!?
「やっと目覚めたか」
後ろから声が聞こえてくる。さっきまでなにもいなかったはずなのに。その事実に少しビビりながら後ろを振り返る。そこにはそれなりに広いはずの洞窟にギリギリの大きさで入っているデカいドラゴンがいた。
残念な事に暗くて何色しているのかが分からない。せっかくのドラゴンさんなのに……!それと少しでも動いたりすると壁にぶつかりそう。窮屈じゃないのかな?
後、名前はなんですか!?と激しく聞きたい!だけどそういう雰囲気じゃなかったので残念ながら諦める事にした。
「では説明に入ろう。まず、お前を眠らせてここに持ってきたのは我だ。なるべく誰にも見られたくないのでな。久しぶりの良い獲物だからな。とても美味そうだな。少し欲を言えば大きさがもう少し大きいのが良かったのだが文句を言っても仕方あるまい。ではお前を食ってやる!」
それを聞いて残念に思ってしまった。多分私がこのドラゴンに期待しすぎていたのだろう。やっぱりうちのクラーが優秀なんだね。あっ!そうだ!後でクラーに乗せてもらって遊びたいなー!
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