第24話 私、怖くなる
着陸してきた私に対して、王様が言う。
「おい、トカゲ。今までどこに行っていたんだ……って何故お前がいる!」
なんでそんなにも紫月がいるのに驚くんだろう?
「そんな事、どうでも良いでしょ?それよりも……ねぇ、なんで色ちゃんに手を出したの?出すなって言ったよね?それとも……殺されたい?」
「そ、それはだな……」
「もう、いい。こいつは自分の事しか考えていない、国の事など全く考えていない屑野郎に用はない。はぁ、この国も終わっているね。……色ちゃん、いっその事こいつを国の中で殺す?」
『そうだねー。そうしようか!そっちの方が面白そうだしね!』
逃げ出した屑野郎を捕まえて、魔法で作った縄で身動き出来ない様に縛る。そして紫月の所に戻ってくると
「色ちゃん、5m位のドラゴンになって」
『うん。分かった』
私は紫月から離れて言われた通りに5m位のドラゴンになった。
『なったけど、なんで?』
「こっちの方が良いかなって思ったからかな?なんとなくってやつだよ」
『そっかー。なら良いんだけど』
「じゃあ王様も連れて行こうか!」
王様をそっと掴んで紫月が乗ったのを確認してから飛び立った。
少しして着陸するのに丁度いい広場を見つけたからそっと着地する。そして紫月が降りた。
「じゃあ色ちゃん、そいつちゃんと持ってて」
『分かった。でも私このままの大きさで良いの?』
「インパクト重視だから大丈夫!」
『それで良いのか……』
そんな会話をしていたら、段々と人間が集まってくる。この感じはあまり好きじゃない。グイスが殺されかけた時と似ているから……。それを意識すると怖くなってきて……
「色ちゃん、どうしたの?大丈夫?もしかして、具合が悪い?」
『……だ、大丈夫、だと、思う』
紫月にも心配される程に無意識に震えていた。
「全然大丈夫そうじゃないじゃん!どうしたの急に震え始めて」
「ギュゥー……」
声が普通に出せない程に怖くなってもうどうしようもない……。
「これはもう駄目かな……。色ちゃん、先に帰る?それとも、まだ一緒にいる?」
『いっしょ、にいる……』
小さいサイズのトカゲになった色ちゃんが私の肩に乗る。それにしても、なんで急に震え始めたのかが分からない。
ただ沢山の人に囲まれているだけなんでだけど……はっ!もしかしてこの状況が苦手?でも、なんで?……前になにかあったのかもしれない。あっ!そういえば、色ちゃんが言っていたっけ確かこんな状況でグイスが殺されかけたんだっけ。それでこうなったと。
うーん。これは、私が悪いね。……さあどうしようか。もう、王様の事なんてどうでも良くなったから、家に帰る事にしよう。その前に、色ちゃんを落ち着かせないといけない。
「色ちゃん、王様の事なんてどうでもいいからやっぱり家に帰ろう。私を乗せて帰れる?」
「キュウ……」
「大丈夫だよ。色ちゃんのせいじゃないから。そもそもあの人達は王様を見に来ているだけだから、色ちゃんに何かする事はないからね」
私は色ちゃんを撫でて落ち着かせようとしてみる。それは上手くいったみたいで私に不安そうにくっついていた色ちゃんが
『よし、さっさとこの場所からさよならしよう!』
と元気に言ってドラゴンになっていたから良かった。
紫月を乗せて家に帰ってくると
「色ちゃんごめんね。私が気付かなくて……」
『それはいまだに克服出来ていない私が悪いから謝らなくて良いよ』
「でも……」
『大丈夫だから!それにね私を落ち着かせてくれたのが、とても嬉しかったんだ!だから、謝らないで』
それで紫月は納得したのか、それ以上なにも言わなかった。それを見ていたみんなが
『珍しいな。シキとシヅキが喧嘩するのは』
『そうだな、一体どうしたんだよ?』
『それは、ちょっと私がね……』
私はさっきの事を話した。
『そうだったのか……。なら私がシキの前で人間達を倒して見せれば解決するはずだ。今からでも行くか?』
『それはそうかもしれないけど、そんな都合良く人間が来るはずがないよ。しかも大量に来るなんてよほどの事がない限りはね』
『ないなら起こせば良い。では、今から少し行ってくる』
『行かなくて良いよ!無理に危険な目に合わないで!』
思いっ切りブーメランだけど……。仕方ないよね。いくら平気だと分かっていても、心配なんだから。……うん。紫月の気持ちが分かったね。
『だが、それだと治らないかもしれないぞ……?』
『良いの、治らなくても。みんなでゆっくり暮らしていければ良いだけだから、向こうからきたなら仕方ないけどこっちからは何もしない、それで良いの』
『シキがそこまで言うなら、それに従おう。しかし暇になってしまったな。これからどうするか』
『それならみんなで外に行って遊ぶ?最近みんな家にずっといてあまり動いていないと思うから行こうよ!』
ついでにあの場所にも行きたいなー!みんなが感動してくれればいいな。とのんきに考えていた時、奴は来た……!
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