第22話 人間に捕まえられた

 そんなこんなでいつの間にか、ワルトとグイスとクラーが帰ってきたみたいで帰ってきたぞーと言った。その声を聞いてリビングに戻る。


『おかえりー。そう言えば、クラーが言ってた気になる事ってなんだったの?』

『それは……昨日、人間が沢山来て主様を捕まえようとしましたよね。それが少し気になりまして、調べてみたんです。そうしたら、ある国が主様の事を捕まえようとしているみたいで……』


 マジかー。これから人間が来ても無視した方が良いかな?面倒くさいって言うか大変だし。


『そうなんだ。じゃあ今はなにもしないで家にいようか。あっちが私達になにかしない限りはね』

『分かりました』

「それでも良いけど、家から出られなくなっちゃうよ?」


 うーん……。そっかー、でも私がその内ぶっ飛ばしちゃいそう。イライラして。


『どちらにしろ、私が勝手に色々しそうだからそこまで心配はしなくても大丈夫だと思う』

「そういう問題じゃない気がするけど。……それなら良いかな?」

『そっちのわたしよりもはやくにんげんころすもん!わたしのほうがすごいから!』

『……今は人間を刺激しない方が良いの。下手に動くよりも動かない方が安全だと思うから、そっちの私もまだ手を出さないで』


 私になら手を出しても大丈夫だけど、他のみんなに手を出されたら……ね?


『わかったよ。しかたないなー。がまんするよ』

『そうしてくれると嬉しい』


 こんな風に今日は終わった。だけどこの平和が続いたのは今日を入れて三日間だけだった。

 三日後、今度は王様が来た。軍隊もいる。激しく面倒くさい事になりそうな気がする……。

 よし、今日は家にひきこもってやる!


『今日は、家の中で過ごします!』

「でも、あの人達の声がうるさいからゆっくりできない」


 これは紫月から許可をもらったと言っても過言ではない!


『じゃあ……!』

「だけど!なるべく殺さないようにしてね?」


 過言だったよ。でもうるさいなら……ね?


『なんで?別に良いじゃん』

「なるべく、色ちゃんに怪我してほしくないから。分かって」

『……。気を付けるよ。じゃあ行ってくる!』


 私は外に出て、人間達の所に向かう。

 人間達の所にたどり着くと


「……やっと来たな!待ちくたびれたぞ!この野郎!」

『一応野郎ではないんですけど?』

「そんな事はどうでもいい!早く俺様の手下になれ!」

『嫌だよ。誰が貴方なんかの手下になる?そんなわけがないじゃん!』


 こんな奴の手下になる位なら、一回自爆するね、それ位嫌。


「ふん!これを使えばそんな事も言ってられないぞ!」


 そう言って取り出したのは、ボールみたいな物。

 ……好きだねそれ。頭がおかしくなるから嫌いなんだけど……。そんな事言っていてもどうしようもないから避けるしかないんだけどね。

 王様が投げる前に身体を小さくして逃げる!人間達の間を走り抜けた。走って少ししたところで振り返てみると、やっぱり追いかけて来る人間達。

 このままじゃ、埒が明かない!でもどうする?人間達が追いついたら下手すると大変な事になりそうだし、紫月と殺さない約束しちゃったから殺せないし……。

 とにかく逃げながら考えているけど、良い方法が思い付かない!どうしよう?

 うーん……。もう空に逃げるしかない!ドラゴンになって飛び立つ。

 これなら逃げ切れるはず。でも逃げた後人間達は諦めて帰ってくれるかな?

 ……多分諦めない気がする。これじゃあ根本的な解決にならない。

 これはいっそのことわざと捕まってそれなら殺っても良いよね?不可抗力ってやつで。

 よし、それじゃあ早速やろう!

 地上に降りて普通サイズのトカゲになる。そして走るスピードを遅くして人間達が追いつける程度にする。

 少しして人間達が追いついて来た。


「よし、今だ!投げろ!」


 投げられたボールみたいな物に一つ当たり、頭の中がぐちゃぐちゃにされている様な気持ち悪い感覚に襲われて私は意識を失った。





 気が付いた。でも意識がはっきりとしない。しかも、水の中にいるみたいな感じでいつもより身体が動かしにくい。

 そんな中周りを確認すると何かの金属で出来た格子の中に入れられているみたい。その周りに布があって外が見えない。少しするとうるさい王様が入ってきた。


「おい、トカゲ!やっと起きたか、これからお前が行くところは隣の帝国だ。思いっ切り暴れまくれ!」


 私は人間の区別なんてつかないし間違って殺してもおかしくはないのに、そんな事言われてもね……。それにいつも通りに動かせないしどうしろと?

 ……まあ、大丈夫かな。人間相手だし。


「返事はどうした、トカゲ?」

『具合ガ悪クテ上手ク喋レナイケド、コレデモ良イカ?』

「……仕方ない。直してやる。だが、ここでは暴れるなよ!」


 言いなりになるのは気にいらないけど……ここで暴れても仕方ないしね。


『分カッタ。暴レナイ、早クシテ』

「……これで直ったはずだ」

『治ったから、ちゃんと約束通り暴れないよ』


 やった!これでやりたい放題出来るね!

 でもこれからどうしよう。帝国っていうのをぶっ飛ばした後、王様も殺して……はしない方が良いか。王様の国に戻るのを待ってからにしてと。

 早く帝国に着かないかな?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る