第21話 実験をしてみる

 ようやく、説教が終わったころには夕方になっていた。


「今回はこれくらいで許してあげるけど、次やったらまた怒るからね?」

『はい……。分かりました……。気を付けます……』

「じゃあいつの間にか夕方になっているし、家に帰ろうか」

『うん』


 そうして私と紫月は家に帰った。


『おっ!おかえりシキ、シヅキ』

「うん。ただいま、ワルト、グイス、クラー」

『ただいま!ふぅー。お腹空いた気がするよ……』

『シキが腹が空いたとは珍しい事もあるんだな』


 説教のせいでちょっとね……。


『ちょっとねー』


 そんなこんなでみんなで一緒に食べる事になった。とても楽しかった。

 次の日。今日は今のところは人間は来ていない。良かったー!今日はゆっくり過ごせるー!


『今日はゆっくり過ごせるぞー!』

『俺達は昨日もゆっくりと過ごしたけどな。もうそろそろ、どこかにでも出かけたいころだな』

『そうだな。私ももうそろそろ身体を動かしたい。少し行ってくる』

『いってらっしゃーい!』


 グイスは外に出かけた。多分、軽く走るのかな?

 そういえば、クラーは外に出ないのかな?


『クラーはどうするの?』

『そうですね、少し気になる事があるので行ってきます』

『じゃあ、俺も一緒に行くぜ』

『うん。いってらっしゃーい!』


 みんな行っちゃったね。


「色ちゃん、私は木の実を食べに行くけどどうする?」

『うーん。私はいいや。今日はちょっと遊ぶ予定にしたから、魔石でも食べてる』

「了解。じゃあ楽しんでね」

『うん!久しぶりに楽しむぞー!』


 実験用の部屋に行って早速!やってみよー!まずは、10cm位の鉄のブロックを魔素で作って手に持って一から六までのくぼみを作ってサイコロにしてみる。

 このサイコロはちょっと置いといて、次は魔素で作った土で人間の形をした20cm位の物を作る。

 一旦、私の身体を戻してさっき作った物を覆うようにしてみると、人間の姿になった。相変わらず真っ黒だけど……。まぁ、人間の姿にはなれるっちゃなれるのか。

 でも、やっぱり人間の姿にはもうならなくて良いかな。だってみんなにどんな姿でも私は私って言われたから。ふふっ。嬉しいね。こっちは良いね!最高だね!

 さて、喜ぶのはこれくらいにしてトカゲに戻っておこう。

 それでちょっと気になっている事があって、少し尻尾の部分を戻してそこを使って小っちゃいトカゲにしてみる。

 うーん。動かないか。意識もちょっと分けてみると


『わー!わたしがいるー!やっほー!』


 ……うん。動いたけど、なんだか、大変な事になりそうな気が……。


「色ちゃん、来たよ!わっ!色ちゃんがふたりいる!」

『しづきー!やっほー!』

「こっちもやっほー!この色ちゃんは元気が良いね!かわいい!」

『……ちょっとした実験でね、私の身体を分けるとどうなるかを試していたんだ』


 まさか、こうなるとは思わなかったけどね……。


「そうなんだ!ねぇ、この色ちゃん貰っていい?」

『いいよー!かわいがってねー!』

『駄目に決まってるでしょ!なに勝手に言ってるの私?』

『しづきはやさしいから、だいじょうぶだもん!』


 確かに紫月は優しいけど、そういう問題じゃない!


『大丈夫とかそういう問題じゃないの!私なら分かるでしょう?』

『うん!わかる!』

『なら……』

『でも、いいでしょー?わたし!』


 ……。私の言い分も分かるから仕方ない……。


『分かったよ。紫月、頑張ってね。私の事だから、面倒くさい事にもなるかもしれないけどそれでも大丈夫?』

「大丈夫!だって色ちゃんなんだから、そんな事はしないでしょ?それで、もししたら……どうなるかは分かっているはずだしね?」

『う、うん!わたし、がんばる!』


 うん。それなら、きっと大丈夫だね。


『頑張ってね私。紫月の説教はキツイよー?』

『そんなの、わたしとちがってそんなことやらないもん!』

「そうだよねー。こっちの色ちゃんはそんな事しないもんねー。それに比べてあっちの色ちゃんはそんな事しちゃったからねー?」

『今はそんな事もういいじゃん!もう掘り返さないでよ!』


 あの時は、本当に予断していたから何とも言えない……。だからもう言わないでください……。


「……ごめん。ちょっと言い過ぎた。だから機嫌直して」


 紫月は私の頭をなでなでしてくる。その内許してくれたんだなと思って安心してくる。


『むー!しづき、わたしにもなでなでしてー!』

「うん。分かった。はい」


 そっちの方の私もなでられて嬉しそうだった。

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