第19話 また人間が来た……

 うん、良い事言った!厳密には思っただけどね。というのは置いといて


『うん。そうだね!人間じゃなくても関係ないね!』

『ああ、シキはシキだからな。……ところでシキ、あんなことも出来るのかよ!なんで俺にも教えてくれなかったんだよ!』

『そんなに重要とは思わなかったからね。それにそんな価値があるとは知らなかったし』

『シキだけずるいぞー!俺も、シキと同じ事が出来る様にしたいぜ!』


 ……これって確かにかなり便利だよね。そこら辺の雑草が薬草に出来るからわざわざ遠出しなくても、良いわけだしね。

 そう考えると私の能力って便利だなー。これが知られたらきっと狙われそう……。ちゃんと隠さないとね。


『まぁそんなに言わなくても、後で教えるけどそれで良い?』

『分かった。約束だからな!忘れるなよ。じゃあ俺は家に戻っとくからな!』

『忘れないから、大丈夫だよ!じゃあね!』


 ワルトは飛び立って家に帰っていった。


「ねぇ色ちゃん、私ちょっと用があるから家に戻っているね」

『分かった。じゃあね!』


 ワルトも紫月も帰っちゃったから、私はどうしようかな?

 うーん。……そうだ!良い景色が見れるところ探してみよう!見つかったら後でみんなに見せてあげよう!

 そうと決まれば、探さなきゃ!私は綺麗な景色を探し始める。

 そして探し回って、ついに見つけた!そこは綺麗に夕日が見える場所だった。あっ!ここ凄く綺麗!と思わず言ってしまった。

 そういえば探し始めた時は昼ぐらいだったけど、いつの間にか夕方になってた。びっくりだね!

 じゃあ、私も家に帰ろうかな。





 次の日。また人間が来た。今度は複数いるみたいで、面倒くさくなる予感がする……。


『また来たね人間。もう、問答無用で殺しちゃおうかな』

「色ちゃん、それは駄目って言っているじゃん!何か用があるんだよ。ほら、一緒に行こう?」

『分かった。だけど、……相手の出方次第でぶっ飛ばしてやろう』

「そうしてね。いきなり襲ったら、あっちも倍以上で返してくると思うし気を付けてね」


 確かに、そうなると面倒か。


『仕方ない、我慢しようかな』

「それで良いよ」


 私と紫月は人間達がいる所に向かった。


「おお!貴方が噂の人ですか」

「噂?どんなの?」


 仮に人間1にしておこう。人間1はなんだか胡散臭い。そのせいで、嘘にしか聞こえない。


「この平原で困っていると助けてくれる人がいるという噂だ。しかもトカゲを連れているらしいからきっとお前の事だろう。そこで、お前にお願いがあるんだ」

「お願いねー。どんなお願いかによるけど、とりあえず聞いてから考えるって事で良い?」


 こいつは人間2にしておこう。人間2は真面目そうな雰囲気だな。こいつは信頼出来できそうだ。


「ああ、もちろんだ。それで良い。それでお願いというのがな、お前のトカゲについてなんだ。もし良かったら、そのトカゲをこっちで預かりたい。もちろん金も出す」

「預かってどうするつもり?」

「生態を調べるだけだ。今更だが、私達はドラゴンの生態を研究しているんだ。それでまずは比較的近いトカゲを調べる事にしてな。どうだ?預かっても良いか?」

「……駄目。色ちゃんは私の家族。家族を知らない所に預けるなんて出来ない。じゃあ、私はこれで。色ちゃん、行くよ!」


 私は紫月についていった。それなりに歩いて紫月が止まる。


「色ちゃんはみんなと一緒にあの家にいれば良い。そうだよね?」

『まあね、それが出来れば良いけどそんな事は中々出来ないよね。実際は私がしようとしないだけだけど』

「じゃあする?色んな人達を無差別に殺しちゃおうか?」


 それは魅力的……。だけど何故か必死に駄目って、言われているからそれっぽい言い訳を言おう。


『それはしない。だって私が困っちゃうよ。なにかしらの刺激は残しておかないと私が暇になっちゃう。それは駄目。……それにしても、なんでいきなりそんな危ない発言言うの?今までは私の事止めてたのに』

「それは……なんだかイラついちゃって言いたくなっちゃった。えへへ」

『そうなんだ!良かった止めて。これで本気にしてたら人類ほぼ滅亡してたかもね』

「あははっそんな冗談止めてよね!って色ちゃんどうしたの?」


 ……うん。『本当に止めて良かった。危ない、危ない』謎の声っぽいものが止めてくれて助かった。


『別になんでもないよ?』

「……そ、そっかー」


 二度とこんな事言わないようにしないといけないと。冷や汗をかきながら、そう紫月は思った。


「……よし、じゃあ戻ろうか色ちゃん」

『うん』


 家に帰ってくると早速グイスが聞いてくる。


『それで今回はどうだった。人間達はなにかしてきたか?』

『特に何もしてこなかったけど、紫月がね』

「ああ!言わないで!色ちゃん!」

『おっ?シヅキがそんな事言うなんてな?面白そうだな!俺にも聞かせろ!』

「……ワルトまで、そんなこと言わないでよ!」

『それでね紫月が……』


 それでみんなで楽しく喋りました。あっ!ちゃんとワルトに教えてあげたよ。忘れずにね!

 これが平和ってやつかな?




  

  


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