第18話 私は私だよね?

 次の日。今日ものんびり過ごそうと思っていたら、えーっとまた人間がまたいる。

 どんだけ、来るの?本当に最近人間がここに来るの多くない?二日連続で来るな!

 でも、ここに来るってなにか用があるのかもしれないけど……。まぁ仕方ない。聞きに行くか。


『ちょっと人間がいるみたいだから追い払ってくる』

「色ちゃん、怪我させないようにね」

『気を付けるんだぞ』

『俺も行って良いか?』


 ワルトが行っても……。大丈夫そうだね。そこまでやる気はないし。


『じゃあワルト、一緒に行こうか』

『やったぜ!最近は家にしかいなかったから、そろそろ身体を動かしたいと思ってたんだ!』


 確かにワルトとグイスとクラーは全然外に出てなかったね。その内みんなでどこか遊びに行こうかな?


『じゃあ、行こうか!』

『おう!』


 人間のところに行くと


「……トカゲとカラスですか。びっくりさせないでください。全く、アレはどこにあるのか……」

『そっちが勝手にびっくりしただけだよ!よし、ちょうどいいからワルト。実験して良い?』

『ああ、良いぞ。なにするんだ?』


 こう何度も人間に来られても大変だから、どうしても必要な時にしか入れなくしよう!そっちの方が良いに決まってる!


『人間があまりここに入らない様にしようと思ってね。どう?名案でしょ!』

『それは良いかもしれないけどよ、ここっていつもだったら人間はいないだろ?たいして変わらなくないか?』

『確かに、そうだった……。忘れてたよ。仕方ない。この人間に協力してあげようワルト、紫月を呼んできて。そっちの方が早い』

『……まぁ、良いけどよ』


 ワルトが紫月を呼びに行った。さて、私はこの人間を見失わないようにしておかないと。

 少ししてワルトが紫月を連れてきた。


『連れてきたぞ』

「それで色ちゃん、私になにか用なの?」

『あそこにいる人間がなにか探しているみたいだから、手伝って。そして早く、ここからいなくなってもらわないと!』

「色ちゃん、分かった。私、聞いてみるね」


 紫月があそこにいる人間に聞きに行った。


『シキ』

『なに?』

『……なんでもない』

『なんでもないんかい!』


 こんなやり取りをしていたら、紫月が帰ってきた。


「色ちゃん、聞いてきたよ。なんでも、普通じゃない薬草を探しているんだって」

『……普通じゃない薬草?そんなのがここに生えている訳がないよ?』

「でも、ここにある気がするって言ってたよ?」

『マジで?そんな事言われてもこっちが迷惑なんだけど……。仕方ない、違うものになるかもしれないけど、作るか』


 近くにある草に前と同じようにすると、引っこ抜いて紫月に渡す。


『多分これで合っているはず、紫月。上手くいってきて』

「分かったよ。だけど相変わらず、便利だね。その能力」

『そうかもしれない、私には分からないけど』

「まあ、そういうものなんだろうね。じゃあ、行ってくる」


 紫月は走っていった。これで、あの人間が二度とここに来ませんように……。


『あの人間、また来そうだな。そんな気がするぜ』

『ワルト、そんなこと言わないでよ。ただでさえ人が来る頻度が、高いのにこれ以上増えたらどうするの?』

『……すまねぇ。そう言うつもりじゃなかったんだが、なんだかそんな気がしてな』

『文句言っても仕方ないか、分かった。来るなら来い。相手してやる!てな感じで構えておくよ』


 どんな相手が来ても、私は絶対諦めない!


『それは、ちょっと違うやつだ!はぁー。……なんでシキは人間の事になると好戦的になるんだ?分からない……』

『それは、……私にも分からない!』

『分からないのかよ!その調子で言ったから、分かっているもんだと思ったじゃねぇか!もう、なんなんだよ!』

『どうだっていいと思うよ!それが私だもの』


 私は誰に言われても信念?を曲げない!私は私だもの!と思ったけど今の私、変なテンションになってる!


「色ちゃん、上手く言ってきたよ!」 


 いつの間にか、紫月が戻って来ていた。気付かなかった。


『ありがとう、紫月。それで、持って行ったもの合ってた?』

「うん。合っていたみたいで、とても喜んでいたよ!見ているこっちも嬉しくなっちゃった!」

『そうなんだ。へー』

「もう、色ちゃんたら興味なさ過ぎだよ!」


 興味か……。


『興味だったら紫月にはあるんだけど、他の人間にはどうしても興味がなくて……。だから紫月には色々心配しているんだよ?私と違って普通の人なんだから、怪我はしていないかとか具合は悪くないかとかね』

「……意外」


 そこまでかな?だって私はもう、紫月は大切な友達だと思ってるからね。


『まぁ、確かに紫月は私にそこまでは出来ないかもしれないけど。私にだってちょっとは、人間っぽい感情があるんだなって今も思っている位だから。私って不思議だよね。……もう、人間でもないのに』

「色ちゃんはずっと色ちゃんのまんまだから、人間だろうがトカゲだろうが何だろうが変わらない。だって色ちゃんだもの!」


 そうだね、私は私。さっき思ったばかりだけどね、それってとても素敵な事だと私は思うよ。

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