第17話 王様に会いに行く事に……
人間が話した内容はこうだった。
まず、違法な奴隷オークションが開かれた。その被害者達が
「私達が助かったのは、黒いトカゲを使い魔にしている黒髪の少女のおかげだ」
と言いまわってその国中に広めた。
ちなみに違法な奴隷オークションは、そのほとんどが適当な場所からさらわれるので被害が後を絶たなかった。こうやって被害者が帰ってこれる場合は滅多になく、奇跡だと言われるらしい。
次にとある国がその話を聞いてその黒髪の少女はもしかすると召喚した者と同じ人物なのではないかということになり、この人間達が確認しに来た。という訳だった。
「それで?私を見つけて捕まえようとした訳ね?」
「はい。そうです……」
「へぇー。一度、私を捨てたのに。そんな事をしてまで戦力が欲しいの?それに、色ちゃんは私の友達だもん。使い魔じゃないから、気まぐれで人を食べちゃうかもよ?」
「ひぃぃ!」
紫月が私にすりすりしながらそんな事言ったけど、これは流石に酷くない?気まぐれで人間を食べるとか、そんな物あんまり食べたくないんだけどなー。むしろ魔石食べたいし。
それに、どんだけこの人間ビビってるの?それほど私嫌われてるの?なんだかなぁ……。
『人間はそこまで美味しくないし、進んで食べたいと思わないなー。友達なら、そこまで酷い事言わなくていいじゃん』
「友達だからこそだよ。色ちゃんが、怖い目に合わない様にしているんだよ」
『……それなら良いんだけど。これから、どうする?徹底的に潰す?それとも放置する?』
「今の内に言っといた方が良いかもしれないね。私達に手を出さないでって。じゃあ、案内してくれるよね?」
そうだよね。でも、そう簡単にいくかな?
「はい。分かりました……。こっちです」
それから、私は小さいサイズになっていつもの定位置に行って案内が終わるのを待った。
それなりに時間がたって国の入り口にたどり着いた。これから更に列に並んでやっと中に入る事が出来た。
長かったー。どんだけ、時間かかるんだよー。
それで城の中に入って王様のいる所に向かって紫月が歩いた。そして到着。
「ねぇ、王様。一度捨てた私になにか用?」
「お前には、用はない。用があるのはそのトカゲだ。お前をここの兵器にする。これはお前みたいなものにとっては名誉な事だろう!さぁ、話せるんだろう?俺様に声を聞かせてみろ!」
『……。名誉ねぇー。正直、いらないし。勝手に兵器にされるのも勘弁してほしい。何よりも、お前みたいなタイプの人間って大っ嫌いなんだよね。他のもっとまともな人間はいないの?出来れば変わってほしいんだけど』
「色ちゃん、言い過ぎ。ほら、王様が呆然としちゃってるじゃん。ふふっ。なんだか笑っちゃう」
紫月が笑っている中、王様はプルプルしていた。なにしてるんだろう?
「お前、よくも、俺様を、馬鹿に、しやがったな!これでもくらえ!」
王様が出したのはさっきの人間達が使っていた物とほとんど同じ奴だった。紫月が当たったら、どうなるか分からない。私がなんとかしなきゃ!
とっさに私は紫月の肩から飛び降りながら、大きいサイズになってボールみたいな物に当たった。
ぐー!頭がおかしくなりそう……。もう、無理……。
私は色ちゃんに付いている変な物をすぐに外した。
だけど、色ちゃんの様子がおかしい。いくら呼びかけても返事をしてくれない。どうしたんだろう。さっきのやつが何かしたとしか、思えない!
「おい!お前、色ちゃんに何をした!」
「ふん!だたちょっと洗脳させただけだ!」
「洗脳?お前、ふざけんな!そのせいでどれ程、色ちゃんが苦しんだと思っている!」
「ギュー!グルゥウ!」
あれ?色ちゃんが怒っている?のかな。
「色ちゃん、ごめんね。私の為に守ってくれたのに……」
私は色ちゃんの頭をなでなでしていると、だんだん落ち着いてきてついには眠ってしまった。
「……ねぇ、王様。忠告します。いや、警告の方が良いかな。私達に手を出すとこの世界はきっと消えますよ。もちろん、他の国にも言っておいてくださいね?世界を消したくなければ、なにも私達にしないでくださいね?」
「なんだと……。だが、そんな事が出来るはずがない!」
「……それに、色ちゃんが怒ったら、国が無くなりますよ。それではよろしくお願いします。もう会いたくは、ないけどじゃあね」
私は色ちゃんを起こす。
うーん?ここは?ああそっか。王様がいる所か、あれからどうなったんだろう?
「色ちゃん、家に帰ろう!」
『う、うん。分かった』
紫月がそう言っているのなら、終わったのかな?
「色ちゃん、身体小っちゃく出来る?」
そうだった。身体大きいサイズのままだった。小さいサイズになってと。それから、紫月の肩に乗る。
「じゃあ行こうか」
『うん』
国の外に出て周りに人間達がいないことを確認してから紫月が言う。
「色ちゃん、家まで飛んで行ってくれる?」
『うん。分かった。じゃあ、ドラゴンになるからちょっと待ってて』
私は紫月の肩から降りて普通の大きさに戻る。そしてドラゴンになって紫月が私に乗ったのを確認したら飛び立った。
そして家に着き、みんなにただいまと言って入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます