第15話 怪しい人間と一緒に行ったら……

 でも、そこまで隠されるととても気になる……!だけど、我慢しなくちゃ。我慢、我慢。

 あ!そういえばここって見渡し良いから、すぐにここに家があるってばれそう。だったら、私達以外に見えなくさせればいいっか!能力だと今はちょっと残量が少なめだから、魔素を使っていこう。

 まず、魔素で家と木も覆っていきます。次に、私達以外に見えなくさせて終了!

 ふぅ。これで良し!


『おい、シキ。なに普通に凄い事やってんだよ』

『えー?そんなに難しい事?』

「ワルトの言う通りだよ、色ちゃん。だって私を召喚した時だって50人位いてやっと召喚出来たって言ってたよ?さっきのやつをひとりで出来るって相当な事だと思うよ」


 そうなのかな?でも、もしかすると


『その人間達が下手なだけだったんじゃないのかな?』

「そんな訳がないよ。だってその人達は全員が熟練者って言ってたよ。色ちゃんが魔素を操るのが上手過ぎるだけだよ」


 私って凄いの?……よく分からないなー。でも、そう言うのならそうなのかな?


『そういえば、紫月は気にしてないの?召喚された国の事』

「うーんとね。最初はやり返してやろうと思ったんだけど、今だと別にもういいやって感じかな。あっちから、なにかされるまではどうだっていい。だって色ちゃんと一緒にいれるし、ワルトやグイス、クラーのみんな優しいしね」

『それなら、良いんだ。みんなで一緒に暮らそうね!』

「うん!」


 そうやってひと安心した時、人間の気配がした。

 さて、どうするか。なにもしないで通りすぎるのを待つか、こっちからしかけるか。……様子を見るか。


『……みんな、近くに人間がいる。家に入るよ。なにもしないで様子を見よう』

「うん」『了解』『分かった』『了解です』


 家に入った。それじゃあ、人間の動きを見てみよう。

 ただ、キョロキョロしているだけ?なにがしたいんだ?なにがしたいんだ?分からない……。

 そうこうしているうちに、どっかに人間は行ってしまった。


『紫月、ちょっと聞いてきて』

「え?私が?」

『私の姿はドラゴンだから無理。でも紫月ならいける!』

「えー。……まぁ分かったよ。行ってくる」


 紫月が行ってくれている間に、私は考える事にした。

 うーん?……紫月の生存確認?それは無いか。だってあんな爆発があったら、多分死んでいると思うはずだし……って爆発!?もしかして、爆発の原因を調べに来たとか?それが一番ありえそう。となると、紫月が危険かもしれない!


『……ちょっと紫月の様子を見てくる』

『分かった、でも無茶はするな』

『分かってる!じゃあ、行ってきます』


 私は、紫月の後を追ってみると、


「おい、お前ちょっとこい!」

「え?なんで?」


 身体を濃縮させてからトカゲになって紫月の身体を登って肩に座る。


「色ちゃん⁈」

『しー、静かに。こいつもしかしたら危ない奴かもしれないから気を付けて』

「……うん、分かった」


 後は、紫月に少しでも変な事したら……殺す。


「おい、お前何を喋っている?」

「なんでも良いじゃん。それともなに、独り言も話しちゃいけないの?」

「おいおい、独り言じゃないだろ。そのトカゲに話しかけていたじゃないか。……こいつも高く売れそうだな。よし、早くこっちにこい」


 こいつ私が高く売れるだと?何するつもりだ?


「……分かったよ。それで?どこに行くの?」

「良い場所に決まってるだろ?こういうのは初めてか?」

「そうだね。初めてかな」

「それじゃ、行くぞ」


 連れてこられたのはいかにも怪しい店だった。


「ここだ。入れ」

「分かった」


 そのまま部屋のドアのところに案内されて入ると閉じ込められた。

 ……うーん?これから、どうしようかな?


「ねぇ、色ちゃん。閉じ込めれちゃったよ?どうしよう?」


 紫月は怖いのか震えている。そんな紫月に私は


『大丈夫。ドアのカギ位簡単に壊せるし、だから安心して』


 と言いながら、紫月のほほにすりすりする。するとだんだん震えが止まっていった。

 良かった。これで紫月も平気そうになった。


『それじゃあ、ここから出よう』

「待って色ちゃん。誰か来るまで待って」

『いいよ、分かった。でも、どうして?……いやなんでもないソッチの方が良いか』

「色ちゃん、何考えているの……?」


 よし、そうと決まったら待つか。


「ねぇ、色ちゃん?まさか、私以外殺す気?」

『うん、そうだけど?それがどうしたの?』

「色ちゃん、私みたいな被害者もいるかもしれないから……」

『……紫月は優しいんだね。分かった。被害者は逃がすよ』


 それを聞いて紫月は安心したみたいで、はぁーっ。と息をついていた。

 それから、少しして誰かがやってきた。


「おーい。元気にしているか?」

「はい。元気だよ?でも、ここ全然良い場所じゃないよ?なんで?」

「それはない。お前達の飼い主を見つける所だからな。さあ、そろそろ行くぞ」


 そう言って来たのは、ステージみたいなところだった。


「続いてはこちら!黒髪の少女と!その使い魔の黒いトカゲです!では、金貨20枚からどうぞ!!」


 よし、こいつらは?紫月と目を合わせると頷いた。

 これから、皆殺しを始めよう……!



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