第14話 木の実を食べてみた!
中に入ると大体、思った通りになっていて安心した。もしかしたら、大変な事になっていたかもしれないからね。
『これが人間の家か』
『うん。そうだよ、あっちだと大体こんな家が建ってるよ』
『主様、これは何ですか?』
『これはね……』
クラーに色々教えながら、家を見てまわる。あらかた周り終わった時にガチャッと音がして紫月とワルトが帰ってきた。
『シキ、終わったぞ。色々持ってきた』
「色ちゃん、ワルトと一緒に木の実採ってきたよ!楽しかった!」
『そうなんだ。せっかくだし、育ててみる?』
「えっ?育てられるの?」
確か普通に能力で草が育てられたから、大丈夫なはず。
『多分、大丈夫!よし、早速植えに行こう!』
「色ちゃんがそう言うなら、大丈夫かな?」
紫月を連れて外へ出て、間隔を空けて何個か植える。
そして、能力を使って成長させると実がなった。
……美味しそうだなー。一個だけ取ろうと、なんとか後ろ足で立ってみたのは良いんだけど……届かなかった。
あれー?届かない?ど、どうしよう?
「色ちゃん、はいこれ。これが食べたかったんだよね?」
『うん。ありがとう。……意外と届かないもんだね。この身体』
「でも、その身体気に入ってるんでしょ?」
気に入っているかどうかで言われると……
『いや、そうでもないんだよね。ただ単になんとなくでトカゲになっただけだから』
「そうだったの?色ちゃんはトカゲが好きなんだなーって思っちゃったじゃん」
『うーん。トカゲは普通かな。好きな動物は……やっぱり、ドラゴンだよね!カッコイイし、強いし!』
「じゃあ、ドラゴンになれば良いじゃん」
はっ!その手があったか!……じゃあ早速、いっかい身体を戻してからドラゴンの形になってちゃんと翼も作ってと。
うん。上手くいったみたい!良かった!
『こんな感じかな?』
「うん。ちゃんとドラゴンに見えるよ!良かったね。……そういえば、木の実食べないの?」
『あっ。忘れてた。……じゃあ、いただきます』
美味しい。……久しぶりに人間らしい物を食べたな。あっちだといつもは日光浴したりしてただけだったからね。ただ、日光浴より効率は悪いけどね。
『美味しいけど、やっぱり私は魔石の方が良いから。もう食べないかもしれない』
「そっかー。でもまた、食べても良いんじゃない?今度は私と一緒に食べようよ」
『分かった。また今度ね。でも、少ししか食べないよ?』
「それで良いの。一緒に食べる事が重要なんだから、量は気にしないの」
そんなものなんだ。まあ、それなら
『そうだね。一緒に食べようか』
「やったー!」
『おーい!植え終わったかー?おお!凄いな、ちゃんと育ってるじゃないか。……そういえば、なんでシキはドラゴンになっているんだ?』
『好きだから!』
それを聞いたクラーが
『主様、そこまで言うのはちょっと恥ずかしいです……』
照れていた。前足で顔を隠しながらどっか行っちゃった。
でも、なんで照れているのかが分からない。
『え?なんでクラーは照れているの?』
『……さぁな?俺は知らない。本人に聞け』
『分かった!聞いてくる!』
私はクラーのところに向かった。
一方その頃グイス達は
『おい、行っちまったぞ。どうするんだよ』
『ワルト、お前が言ったんだからなんとかしてこい』
『えぇー。俺が?でも、あれを説明するのかよ?無理だって』
ワルトが首を振る。
『つべこべ言わずにさっさと行け』
『酷いぜー。グイス。なぁ、シヅキ。お前からもなんとか言ってくれよ』
「色ちゃんは、前からあんなものだから気にしてても仕方ないよ。鈍感だし。だからワルトは行かなくても大丈夫だよ」
『流石だぜ!シヅキ!だってよグイス!』
グイスは呆れたように
『……これだから、ワルトは。お前はちゃんとシキの事をちゃんと考えているのか?……もう良い。私が行ってくる』
「グイスは、色ちゃんの事大切に思っているんだね」
『ああ、俺があった時にはもうあんな感じだったよ。色々、シキの事が心配なんだろうな。俺はそこまで心配しないけどな。シキの事は信頼しているしな』
「私だって、色ちゃんの事信頼しているもん!」
ワルトと紫月は頷いて、色について話し合ったのだった。
それから、少したった後に色が戻って来た。
「あっ!色ちゃん!どうだった?」
『うーん?よく分からなかった。いくら聞いてもクラーが話してくれなくて』
「……。そうだったんだ。まあドンマイ、色ちゃん」
『でも、良いんだ。誰にでも話せない事ってあるよね』
「そ、そうだね……」
紫月は苦笑いした。
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