第13話 私、復活!

 ……私はそこに行って良いのかな?でも、また元の姿に戻れないから……。


『主様、私達はどんな姿でも絶対に嫌いにはなりません。だから、さっさとこっちに来てください』

『そうだ!早くこっちにこいよ!グイスが寂しがっているぞ?』

『そうだな。私はシキがいないと寂しい。だから、早く来てくれ』


 分かった。行くよ。

 自分の身体を寄せ集めて一つの塊にして意識をそこに移す。

 あれ?何も見えない。……目がないからかな?とにかく目を作ってと。

 グイスとワルトそれにクラー、ってデカいなクラー。いつの間にそんなに大きくなってんの?

 声を出そうとしたけど声も出ない。えっと、声帯だっけ?それを作れば良いのかな?よし、作った。これなら!


「グガガッガ……!」(みんな戻って来たよ……!)

『主様、戻って来たのですか!でも、私以外何言っているか分からないみたいですが……。とりあえず、戻ってきてくれてありがとうございます!』

『おい、クラー。これがシキなのか?それなら、戻って来てくれてありがとよ!』

『シキ、勝手においていかないでくれ!私達がどんだけ、悔しかったのが、分からないのか!……でも、戻って来たのならもう良いんだ!ありがとう』


 自分でも何言ってるか分からない程酷い声?だった。だけど、みんなが優しくて泣いちゃいそうだよ……。でも涙は出なかった。そんな機能を持っている目じゃないから……。


『シキ。人型になれば、もしかしたら上手喋れるかもしれないぜ?』


 私は首を横に振る。今の私は人に近い形をとる事も出来ない。


『そっかー。駄目なのか。でも他の動物ならいけるだろ!好きな動物になって俺達みたいに喋れば良いんじゃないか?』


 そうか、でも好きな動物って言われても……。適当に思いついたやつで良いっか。……じゃあ、トカゲにしよう。

 自分の身体をトカゲの形に作り替えてみた。やっぱり黒いままだね。でもちゃんと、鱗は出来ているから良しとしよう。

 でも、グイス達ってどうやって喋ってんの?こんな感じかな?


『トカゲになってみたよ?』

『うお!……凄いな。ちゃんと出来てるじゃねぇか』

「……ねぇ色ちゃん。私もここにいて良い?」


 そこにいたのは、もう一人の私と一緒に来た……誰だっけ?


『貴方は帰る場所があるでしょう?何故私達と一緒にいたいと思う?』

『そうだよ。……名前覚えてないけど、帰りを待っている家族がいるでしょ?』

「私は紫月しづき。覚えて……。それにもう、帰れない。片道だけしか無理なの。それに、もう帰ってくるなとも言われた」


 ……帰ってくるな、か。どっかの誰かさんと同じ事言われてるな。でも、


『誰に?なんで?』

「私をこっちに呼んだ奴。理由は多分、私が使えないから」

『……なに、それ……。意味が、分からない……』

「多分、戦争かなんかで戦力が欲しかったんじゃない?なんでも言う事を聞く人形が。でも何故か私にはその魔法?が効かなかったらしくて、いらない物扱いされてた」


 こんなのを聞くと尚更、嫌いになる。人間が。


『……いても良いよ。ただし、自分の事は自分でやってね。後、一応私達に危害を加えないでね』

「分かった。色ちゃん、二つだけやってほしい事があるんだけど良い?」

『私に出来る事なら良いよ』

「じゃあまず、家を作ってほしい。私専用じゃなくて色ちゃんや仲間達も一緒に入れる家」


 ……家か、多分出来ない訳じゃないと思うけど何故?まあ、とにかく作りますか。

 適当に木の家で良いっか。こんなもんかな。右手にエネルギーを込めてから上げて下げてっドン!……見事な一軒家が建ちましたとさ!


『これで良い?』

「凄いね!色ちゃん!魔法ってこんなもんなんだ!」

『魔法じゃないよ。私の能力』

「えっ?そうなの?……でも、これでみんなで一緒に暮らせるね!」


 みんなで一緒に、か。


『その為に、作ってって、言ったの?』

「うん!そうだよ!こういうのもちょっといいなって思ってさ」

『そっか。そうだね。じゃあ、もう一つはなに?』

「ちょっとね、私ってこっち来たばっかりだから、何が食べれて何が食べれないのか分からないから。食べられる物を教えてほしいなーって」


 食べられる物……。てか、私って魔素と魔石しか食べてないから。駄目だ。全く分からない……。


『ごめん。全く分からないや。それだったらワルトに聞いた方が良いかも』

『お、俺か?でも、俺は木の実しか食べた事無いし……。それでも良いならな。正直、気が乗らないがシキが言うんだったら仕方ねぇ。教えてやる。シヅキだっけ?こっち来い、案内してやる』

「ありがとう!ワルトさん。じゃあ、色ちゃん行ってくるね!」

『ワルト、お願いね。紫月、気を付けてね』


 ワルトが紫月の肩に乗ってあっちだー!と言って紫月がそこに向かっていった。


『ところで、クラー。流石にその大きさだと入り口が狭いと思うからせめてその半分位になれる?』

『はい。今すぐにやります』


 すると、クラーが1m位になった。


『じゃあ、入ろうか。グイス、クラー。私達の家に』

『はい!』『ああ』

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