第12話 私とあいつは……!
……それをこいつが望むわけがない。どうせこいつもあの男と同じだろう。
「はぁ?お前、何言ってやがる?私をそんなにもいじめたいのか?」
「……もう本当は、あんな風に色ちゃんをいじめたくない!私だってあの男に逆らったら最悪死ぬよりも酷い目に合うから助けられなかった……」
……そんなのに、私が引っかかるとでも思ってるのか?
「それがどうした?私がをそんなにして楽しんでいたのはお前だろ?」
「怒っているよね。当たり前だよね。色ちゃんにとっては私はそういう認識だもんね」
「……どういうことだよ!あれは演技だったとでも言うのか!」
「そうだよ。あの男にばれないように演技していたんだよ。……私だって色ちゃんをいじめたくはないもん!」
……演技か。それなら今のも演技じゃないのか?私には信じがたいけど……。
「……だったら、これを壊してよ!グイス達に早く伝えたいから!」
「無理だね。そうしたら私がやられるから」
「じゃあもういい!強引にでも抜け出す!」
「色ちゃんやめて!」
私は無視をして無理矢理、能力を発動させて私の首から下ごと食べた。それで能力で私の身体を作る。
なんとか身体は元に戻ったし、グイス達を追っかける事にする。
「行っちゃうんだね色ちゃん……」
そんな声が聞こえた気がしたけど、何も聞こえてないことにしよう。
あの男の好きにはさせない!私は走り出した。
「おい、分かってるんだろうな?全く、手間をかけさせやがって」
『さぁな?私はシキの言う通りに動いただけだ。それ以外など知らん!いい加減、お前が鬱陶しく感じてきたところだ。お前がシキのなんだかは知らないが殺してやる!』
「……グイス!待ってそいつは!」
「じゃあなオオカミ。素直に逃げとけば良かったのにな!」
目の前でグイスの首が切られた。……あーあ。まただね。私がこうさせちゃったのは。
「ははっ。またかよ。また、俺のせいで……」
「久しぶりにみたな!色の俺モード!さぁ!俺を殺せるのなら、殺してみろよ!」
「……じゃあ死ねよ!お前なんか死んじまえ!!」
俺はこいつを殴りまくっている内に何故か涙が出てきた。
「ははっ!人間モドキが涙を流すなんてな!お前は人間ですらなくなったのにな!」
そう言われ、自分の手を見るともはや人間の手ですらない。黒い何かになっていた。
なんとなくは分かっていた。こいつが死にかけるほどに、俺は人間の姿ではいられなくなるという事に。
だから、あっちの時はこいつに何もしなかった。例えいじめられようが何されようが。
でも、今は必要ない。俺には誰もいないから、関係ない。どんな姿になっても、なにも言われない。
グイス達は、自分達で生きていける。俺は必要ない、消えてなくなろうか。
こいつ、いや自分と一緒に消えるか。
「じゃあな、グイス、ワルト、クラーも元気に生きろ!」
「お、お前何するつもりだ!く、来るなー!」
自分自身をちゃんと捕まえ、自爆する準備をする。
三……、二……、一……、ゼロ……!
物凄い爆発の後に、……なにもなかった。
『おい、今のなんだよ!』
『……あるじさま、なの』
クラーは分かっていた。色が、自爆した事を。
『どういうことだ!クラー!シキはどうなってやがる!』
『ワルト、あるじさまが、じばく、して、いなく、なっちゃった……!』
『はぁ?ふざけるんじゃねぇ!シキがそんな事なるわけがないだろ!』
ワルトは理解が追い付かなかった。何故いきなりシキが自爆したのかを。
クラーは大きさ2m位になり、ワルトが理解しやすいようにと提案をする。
『じゃあ分かりたいならついてきて、ワルト。私が案内する』
『ああ、分かった。お前がデカくなった事は気にしないことにしておく』
クラーとワルトは飛ぶ方向を変えて、シキがいた場所へ向かった。
そこにあったのは、大きなクレーター。所々に黒い物体が散らばっていた。
『なんだよこれ……!なぁ!クラー!どうなってんだ!シキは、シキは!どこにいる!』
『主様は、もう一人の主様と一緒に自爆した。私達に被害が及ばない様に』
『それじゃあ、シキとはもう二度と会えないのかよ!なぁ!どうなんだ!クラー!』
『多分、あの黒い物体が主様。でも、主様を説得しないと戻らない』
クラーは聞こえていた。シキは
『そんなの、簡単じゃねぇか!なぁ!グイス!』
『当たり前だ!シキは大切な友達だから!一人にさせている訳にはいかない!』
『主様、私も、貴女と一緒にいたいです……。だから、変な意地を張っていないで!さっさと、起きろーーー!』
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