第7話 ワルトも進化!

 特に何事もなく、平原にたどり着いた。良かったー。これでまたなにかあったら疲れそうだよ。


「着いたー!よし、日向ぼっこしよう!」

『ふむ、ならば私もそうしよう』


 私は寝転がってふーっと息をついた。グイスも寝転がる。


『俺は……。ここら辺見てくるぜ』


 ワルトは飛び立っていった。少しして、ワルトが戻ってきた。


『特になにもなかった。……暇だなー。なぁ、なんかしようぜ』

「うーん。そう言われてもなー。……そうだ!ねえワルト進化してみる?」


 そういえば、ここでグイスも進化したんだっけ。なんだか懐かしい気がする。なんでだろう?色々あったせいかな。多分。


『なっ?進化?……そんなに簡単にできる訳がないだろう?普通は中々出来るもんじゃないし、色々大変だろ?』

「出来るよ。グイスも進化させたからね。グイスの時にコツをつかんだからそこまで大変じゃないよ。でも、進化すると私のような体質になるけど、それでも良いのならやれるよ」


 喜んでくれてたから大丈夫かな?でも、もし嫌だったらどうしよう?


『もちろん、やるに決まっている!体質の事は気にならないし、むしろ強くなれるんだぜ?嬉しい事だらけじゃないか!それに、グイスも進化したんだろ?俺だけしないなんて仲間はずれにはなりたくねぇしな!』


 ありがとうワルト。否定しないでくれて。


「……じゃあ決まりだね!早速やりたいところなんだけど、お腹空いたからちょっと待ってて」


 私は空中にある魔素を引力の中心にして魔素どうしをくっつけて濃縮させていき、ちょっと電気で味付けして出来たグミを食べる。うーん!美味しい!レモンサイダー味になったね!

 さて、お腹いっぱいになったし進化やりますか!


『……おい、ちょっと待て!今のって魔石だろ!どこから出てきたんだよ!?しかも、食ってるし!』

「うん?空にある魔素を使って作っただけだよ?」


 なにも難しい事はやってないし、普通だよね?そんなにも驚かなくてもいいのに。


『シキ、魔石は普通はな長い年月をかけて作られるものなんだ。そもそも、魔素は普通見えない。しかも、それを使って魔石を作ってしまうのも食べるのにも驚きなんだろう』

『そうだ!【お腹空いたからちょっと待ってて】でポンと作って食べるもんじゃねぇよ!……全く、なんでグイスは普通にしてんだよ!はぁ、ビビったの俺だけじゃねぇか』


 グミって魔石だったんだ!知らなかった!どおりで大切そうに保管されてあったんだね!


「ねえグイス、もしかしてだけど、天然の方がおいしいのかな?」

『さあな、食べたことがないから分からない。だが、そうだな。シキが欲しそうだから探してくる』

「グイス、頑張ってねー!」


 グイスは魔石を探しに行ってくれた。ありがとう!だけど今は、それよりもワルトだね!


「よしワルト、進化しよっか!」

『お、おう。それで良いのかよ……グイスはよ』

「グイスはなにがあっても平気だよ。だって大丈夫だと信じてるから」

『信頼されているなー。凄く羨ましいぜ』


 そこまで羨ましがることないのに。


「ワルトも同じ位とは言えないけど、信頼してるよ」

『ああ、ありがとうな』

「じゃあ、触るよ」

『分かった』


 ワルトの頭にそっと手を置いてエネルギーを少しずつ注いでいく。

 少し経つと満タンになってエネルギーを送るのをやめた。

 ワルトは光に包まれる。やがて光が収まると、50cm位に縮んで身体が真っ白になってかわいくなった。肩か腕に乗せてみたいね!


『……これが、進化か!凄いな!今ならどこまでも行けそうな気がする!』

「ねぇ、ワルト。ちょっとだけで良いから、腕に乗ってくれる?」

『ほいっと。これでいいか?』


 左腕にちょこんとワルトが乗る。ああ、かわいい!


「……ちょっとだけ触っていい?」

『ああ、良いぜ!』


 そーっとお腹を触る。……ふわってして、良い!もっと触りたくなる……!ああ、駄目だ!いつまでも触っていたい。この感触!素敵!もふもふ!


『なぁ、もう降りて良いか?』

「……。……分かった。良いよ。降りて」


 ぱたぱたしてワルトは降りた。うん。かわいい。


『シキ、ワルトばっかり良い思いさせるな。私も触ってくれ!』

「……良いの?本当に?」


 いつの間に!……帰ってきたんだグイス。気付かなかった。でも、本当に触っていいのかな?


『もちろんだ!どんと来い!』

「じゃあ、手加減しないからね?いっくよー!」


 それからしばらく私はひたすら、グイスを触りまくった。

 途中でグイスがなんか言ってた気がするけど、気にしないでもふもふしまくった……。

 ようやく気が済んで、もふもふを止めるとグイスがぐったりして動かなかった。

 かなり長い時間、もふもふしていたようで空を見ると、もうすでに暗くなっていた。ワルトはもう寝ていたので、私も寝ようとした。

 だけど今更ながら、グイスが持ってきた魔石が気になってしまった。色んな色があるみたいで綺麗だった。

 ふと、思い出す。城から持ってきた魔石って多分天然のやつだよね……。

 それならば、この魔石は思い出ようにとっておこう。私はこの魔石をポケットにしまった。

 よし、寝よう。ちょっとだけチクチクするけどおやすみ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る