第5話 さらわれちゃいました!

 気が付くと、知らない場所に居た。起き上がろうとすると、ズキッと背中が痛い。早く治そう。エネルギーを背中に集中させて……よし、治った。

 ん?手足に枷がある。しかも、不思議な力がかかってる。これってもしかしてだけど魔法?食べたらどうなるのかな?じゃあいただきます。んー!美味しい!へー!これって魔法を封じる魔法だったんだ!おもしろい!やり方も分かったしさっさとここから出よう!

 どこも壁だからぶっ壊すしかないね。エネルギーを集めて発射!名付けて、エネルギー砲!ってそのまんまだった。まあ、いいっか!よし、これで出られる!外にゴー!

 なにもなかったなー?グイスが心配していると思うから、早く帰らないと!

 グイスがいる場所に向かうと何故か街の中に来た。……もしかするとグイスが危ない目に合ってる!?早く行かないと!私は走り出した。

 街の中心にグイスはいた。捕まっているみたいだ。助けないと!しかも、街の人間も大量にいる……。早くしないと!


「グイス!大丈夫?」

『シキ!?……こっちにくるな!これは罠だ!逃げろ!』


 グイス、罠ってどういう事とそう聞こうとしたその瞬間、私は意識が無くなった。

 はっ!グイスはどこ!周りを見ると、人間に囲まれている!それに私は縛れていて、グイスが見当たらない!


「グイス!グイスはどこ!?グイス、返事をして!」

「グイス?ああ、あの怪物の事か?あいつならあそこで眠っているよ、永遠の眠りにな!」


 人間達が笑っている。だけど、私はそれを気にせず言う。


「う、嘘だ!グイスが死ぬはずがない!ねぇ、グイス!返事をしてよ!」


 でも、グイスはピクリともしない……。本当に、死んじゃったの?

 グイスをこんな目に合わせた人間に私は怒り狂った。

 怒った私は、グイス以外の人間や建物などを壊して、そして喰った。

 ようやく、私はグイスにエネルギーを注ぎ続けた。


『……シ、キ?』

「……グイス?起きたんだね!良かった!」

『人間、達は?』

「私が喰ったよ?だってあいつら、グイスが永遠に眠ったとか言うんだよ!全く酷いよね」


 グイスはショックを受けたみたいだった。


『……そうか。私は駄目なままだな。また、シキを傷つけてしまった。どうしようもない奴だな』

「そんな事はない!グイスは私の大切な友達だから!」


 私はグイスを抱きしめる。


『ありがとう。シキ』

「うん」


 少しして、グイスをはなして


「……これから、どうしようかなぁ」

『……そうだな。また、日向ぼっこでもしたらどうだ?』

「そうだね!また、しよう!でも、私は。おやすみグイス」

『おやすみシキ』



























 目が覚めると一面真っ白な部屋にいた。

 ここはどこ?私はグイスといたはずなのに……?


「……グイス?どこ?」

『ここにいるぞ?まあ、おはようシキ』


 近くにお座りしているグイスがいた。どこか嬉しそうな気がする。


「グイス、おはよう。ところで、ここどこ?」

『近くに建物があったから、そこに運んできたんだ』


 そういう事か。それにしても、ずいぶん綺麗な建物だねー。

 

「そういえば私、どのくらい寝てた?」

『一週間だ。二日に一度人間が来たが、追い払っといた』

「どんな感じだった?」

『そうだな……』





 シキが起きるまではここは私が守る!

 ……物音がする。全くなんだ?こんな時に?

 外に出てみると、人間が少しいた。シキには近づけさせない!人間達の目の前に行って威嚇する!


『ここに近づくな!それ以上近付いたら手加減はしない!』

「なんでここにオオカミ?がいるんだ?しかも、威嚇しまくっているし」

「白いオオカミか、何故だ?白は神聖な色のはず……」

「なあ、オオカミ。俺達は、ここを通りたいだけなんだ。お前の大切なものには手を出さない。お願いだ、通らせてくれ!」


 ……どうするか。この男は正直だが、他のは信用出来ない。


『……しばらくの間ここを人間が通らないのを約束してくれれば通してやる。無理なら、他の所を通れ』

「分かった、出来るだけ交渉してみる。だが、無理かもしれない。それでも良いか?」

『仕方ない。通してやる』

「ありがとう。俺、頑張ってみるよ」

「なんだか分からないが通れるんだな!」

「ふむ、謎だな。どうしてその色に……?」





二日後


 またか……?人間。あの人間駄目だったのか。……行くか。


「おい!噂のオオカミだぞ!」

「本当だ!白いぞ!」

「おー!結構かわいいな」


 ……なんなんだ?この反応は?どうすればいい?シキが起きていれば分かったかもしれないが……。とにかく威嚇しよう。


『ここに近づくな!それ以上近付いたら手加減はしない!』

「なぁ、きっと大切なものを守っているんだろう?少しだけでも見せてくれないか?」

「そうだよ!見せてよ!」


 シキは見世物じゃない!人間達お前達ならなおさらだ!


『駄目だ!お前達に見せるものではない!さっさとどこかいけ!』

「……はいはい。分かりました。さっさと行きます」






さらに二日後


 グルルルルッ!またか!人間達め!


『ここに近づくな!それ以上近付いたら手加減はしない!』

「いたぞ!捕まえろ!」

「おー!」


 ガルルルルッ!!シキは守る!!

 ……なんとか追い払う事に成功した。良かった。戻ろう。

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