第4話 グイスが進化!

 グイスを追っかけて着いた場所は確かに、平原で広くて人間がいない場所だった。

 さて、勢いでここに来たのはいいんだけど……何も考えてないやー。

 うーんと……。あっ!そうだ!グイスが寝やすいように寝床を作ろう!


「ねぇ、グイス。グイスの寝床どんなのが良い?」

『私は、このままで大丈夫だ。シキは優しいな』

「そうでもないよ!でもそっかー。特になくても平気だもんね。他になにすればいいか分からないなー」


 うーん。他に……。そうだ!魔法!異世界の定番だよね!


「そういえば、グイスって魔法使えるの?」

『いや、特にはないな。強いて言えば、身体を強化しているだけだな。だが、シキの能力はほとんど魔法に近いのではないか?私には魔法にしか見えないな』

「確かに、そう言われるとそうだね。他になにか……」

『そこまでなにかしたいのか?ただ何もしないでぼーっとするのもいいと思うが』


 確かに!いつもなにかはやってきたから、それでもいいっか!


「たまには、そういうのも良いね!日向ぼっこでもしよっか!」

『……もうしているようなものだが。まあ、そうだな。するか』


 私は仰向けになってグイスは伏せっぽい恰好になった。

 よし、小腹が空いたから食べよう。今日も漂っている不思議なものを二つパクっ。

 ……濃厚過ぎてちょっと大変だった。これからは一つずつにしないと。


『……シキ大丈夫か?魔素を過剰摂取すると、意識が無くなって暴走するそうだが?』

「そういう事は無いけど、酔いそうだった……」

『気をつけろよ。シキが暴走したら、誰も止められない』

「はい。気を付けていきます!」


 下手すると暴走するのか。


「だけど、……グイスは平気だったよね。私が怪我を治した時は」

『そうだな……。少しずつだったからじゃないか?』

「じゃあ実験してみる?草で」

『草なら大丈夫だろう』


 私はごろんとうつ伏せになって近くの草に少しずつエネルギーを送っていく。

 すると、だんだん成長していってつぼみができて黄色の花が咲いた。


「……こんな風になるんだ。びっくりした」

『凄いな。……もしかすると私も進化出来るかもしれない』

「えっ?進化するの?」

『ああ、ごく一部の奴がな。しかも、環境などにより違うものになるらしい』


 グイスが進化かー。なんかカッコイイねー!でも、グイスはどう思っているんだろう?


「グイスは進化したい?」

『できるのならば、したい。だが、大丈夫か?エネルギーを使う事になるんだぞ?』

「大丈夫!いざという時にグミ持っているから!」

『グミ?なんの事だかわからないが……。そうか。では頼む』


 私は立ち上がってグイスの頭に手を乗せる。そして少しずつエネルギーを送っていく。

 少し経つと限界まで入ったのかエネルギーを送れなかった。

 グイスは光に包まれてやがて光が収まると1.5m位だったのが1m位に小さくなって灰色だったのが真っ白になった。

 ……かわいくなってる!抱きしめてなでなでしたくなっちゃうね!ってそうじゃなくて


「グイス、調子はどう?変なところある?」

『ふむ、目線が低いがそれ以外はむしろ調子が良いな!シキ、ありがとう。これなら多少は役に立てるぞ』

「グイスはもう役に立ってるよ!こちらこそありがとうだよ!」


 私はギュッと抱きしめる。あっ!尻尾ふりふりしてる!かわいい!

 近くでガサッと音が聞こえて振り返るとそこには、人間がいた。人間は私達に見つかった事が分かると逃げ出した!


「……グイス、捕まえて」

『了解だ』


 グイスは駆け出して人間を押し倒して押さえつける。私はゆっくり人間に近づいていく。


「ねぇ、……今何しようとしたの?」

「……」


 目の前に来てしゃがんで顔を掴んで無理矢理、目を合わせる。


「ねぇ、そんなにも言えない事?」

「……だ」

「……なに?もう一回言って」

「お前は悪魔だ!あのオオカミ怪物を進化させてまうなんて!あいつらは人喰いなんだぞ!そんな存在を操っているお前は悪魔だ!それを使って俺たちを殺すつもりなんだろう!」


 ふーん。私は一応、人間だけど……。悪魔ねー。別になってもいいけどね。


「まあ、そんなにも殺してほしいのなら、殺してあげてもいいけどね。それと悪魔悪魔言っているけど、私から見れば貴方達の方が悪魔にしか見えないよ?」

「そんなはずはない!」

「……それにグイスは怪物じゃない。私の素敵な友達なんだから、あまり悪口言ってると?ニコっ」

「ひぃぃぃ!」


 あははっ。「冗談なのにかなりビビってる!おもしろーい!……でも、グイスの事を悪く言ってたのは、許せないなー。……やっぱり殺しちゃおうかな?」


『……シキ、こいつ失神したぞ。どうしようもない奴だな。それでこいつどうする?』

「うーん。どこか遠くにおいてこようかな?グイスはここで待ってて」

『分かった。気を付けてな』

「うん!」


 人間を担いで走り、少ししたところで適当に置いて帰ろうとした時。


 後ろからドスッと音が聞こえて背中から強烈な痛みがしてくる。痛みに耐えきれなくて私は意識を失った……。


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