第11話 勇者vsアレクシス 決着
キメラの薬により魔族となったアレクシスの細胞はどんどんと増殖し、そして筋肉が肥大していく。
「いいぞ!いいぞ!力が漲る!」
異常な筋肥大により20メートルほど巨大化したアレクシスは良太郎を見下ろし勝ち誇ったように笑う。
「グハハハハ これならお前に勝てるぞ」
そう言いながらアレクシスは右の手のひらを広げ大きく掲げると巨体には似合わない速いスピードで振り下ろした。
良太郎はそのスピードに反応できなかったのか自分と同じほどある大きな平手の攻撃をモロに食らった。
その平手打ちの威力は凄まじく良太郎は弾丸のように勢いよく飛ばされ盗賊の家屋に激突した。
家屋はダイナマイトが爆発したような衝撃音とともに粉々になると砂埃がもうもうと立ち込める。
「う、うう……」
砂埃を払い頭を抑えながら良太郎はヨロヨロと崩壊した家から出てきた。
ダメージを受けている良太郎を見てチャンスと思ったアレクシスは続けざまに攻撃をする。
「どりゃ!」
気合いを入れながらアレクシスは強烈な前蹴りを放つ。良太郎はその前蹴りを防御出来ず空高く舞い上がった。
空高く飛ばされた良太郎は気絶しているのかうなだれている。
その様子を見てアレクシスがニヤっと笑うと膝を曲げ思いっきりジャンプした空にいる良太郎の所まであっという間に飛び上がった。そして今度は良太郎の背中に平手打ちをぶち当てる。
「ぐはぁ」
背中で大きな衝撃音が聞こえると、良太郎はそのまますごい勢いで地面に激突した。
普通の人間ならとっくに死んでいるような攻撃を連続で浴びせたアレクシスだが彼女は攻撃の手を緩めない。良太郎の上に思いっきり体重をかけ着地し、そこから何度も何度も何度も足蹴にし踏みつけた。
「ふう、どうだ、死んだか?」
良太郎の生死を確認しようとしたアレクシスだったが、良太郎ごと地面を何度も足蹴にしたため、辺り一面、砂煙が舞っていて確認ができない。アレクシスは手を何度か左右に振り砂煙を払った。
「ぐふふ、潰れてぐちゃぐちゃかなぁ」
砂煙が消え地面が見える。アレクシスは内臓をブチまけ死んでいる良太郎を想像して再びニヤっと笑う。だがしかし、そこに良太郎の姿はなかった。
「なに!」
アレクシスは驚き辺りを見回したが良太郎の姿はない。不思議に思っているとありえない方向から声が聞こえた。
「ここだ。アレクシス」
アレクシスはハッとし空を見上げた。
なんと驚くことに良太郎がふわふわと宙に浮いていた。
「な…… き、貴様…… む、無傷だと!」
内臓をブチまけるどころか良太郎の体からは血の一滴も流れていなかった。
「ああ、お前への謝罪の意味もあってな、わざと攻撃を喰らった」
「あ!何を意味不明なことを言っている!」
良太郎の言葉にバカにされていると思ったアレクシスは怒り狂って攻撃してきた。だが、良太郎はアレクシスの手が届かない所まで飛んで攻撃を避ける。
「ぐぐぐ!おい!降りてこい! ぬぬ! それにしてもまさかテメー空まで飛べるのか!」
「はは、これは風魔法のちょっとした応用さ」
よく見ると良太郎の両足に小さな竜巻がぐるぐると回っていた。どうやらこの小さな竜巻の風力を使って空を飛んでいるようだ。
「アレクシス、お前と戦っていたらこの集落がめちゃくちゃになる。そうなると涼子達も危ない。地上ではなく上空で決着をつけよう。さあ、ついて来い。キメラ化したお前なら飛べるはずだ。やり方はわかっているだろ?」
そう言うと良太郎はさらなる上空へと飛び立った。
「そうか…… なるほど。フフ、いいだろう。朝井良太郎!次が最後の攻撃だ!」
アレクシスは良太郎の言っている意味がわかったのか膝を曲げ、両手を握り背中に力を込め始めた。
「ぐおおおおおお!おお!」
アレクシスが目を見開きながら力を入れ続けるとバン!という音と共に背中から翼が勢いよく生えてきた。
「はぁはぁはぁ。ククク…… やったぞ」
アレクシスは上空に飛んで行った良太郎を睨みつける。そして翼を羽ばたかせ勢いよく飛び立った。
良太郎は集落が豆粒に見えるほど上空へと飛んでいた。
「ここまでくれば大丈夫だろう」
下を見下ろすとアレクシスが翼を羽ばたかせながらこちらに向かってくるのが見える。
「決着をつけようアレクシス……」
そう呟くと良太郎はアレクシスに向かって勢いよく下降していく。
「来たな。朝井 良太郎! 私の奥の手を喰らわせてやる!」
アレクシスも、ものすごい速さで良太郎に向かって上昇していく。
そしてアレクシスが大きな口をバックリと開ける。口の奥に光の玉が見えた。
光の玉はだんだんと大きくなっていく。
「喰らえ!火の最上位魔法だ!『
アレクシスが叫びながら魔法を発動すると口から光の玉が飛び出した。その光の玉はビームのような速さで良太郎に直撃した。
上空で大きな爆発音が轟き辺り一面に真っ黒な爆煙が覆う。アレクシスは『
今度こそ良太郎を倒した。そう思った。
だが、黒煙が少しずつ晴れていくと煙の中に人影が見えた。その人影はだんだんと大きくなる。
「くそが……」
アレクシスは悔しそうに呟く。あの人影の正体はわかっていた。もちろんあれは良太郎だ…… だがそれと同時に自分が良太郎に倒される事も感覚でわかってしまった。
魔物は自分より強い物を見ると逃げることが間々ある。それは魔物が本能で自分より強いものがわかるからだ。アレクシスも魔族になってその本能が芽生えたようだ。
アレクシスは覚悟を決め上空に佇んでいると黒煙にポッカリと穴があいた。その穴から良太郎が剣を真っ直ぐに向けロケットのように飛び出してきた。
勢いよく下降してきた良太郎は剣をアレクシスの脳天に軽く当たる。そして彼女に別れの言葉を呟いた。
「アレクシス、すまない。俺が甘いばかりにお前を人間として死なせてやれなかった。せめて一瞬で終わりにしてやる。……さらばだ」
アレクシスは何も言わず、ただ無表情で良太郎を見ていた。それを覚悟と理解した良太郎は剣を脳天に突き刺してた。そしてそのまま地上に向かって下降するとアレクシスは真っ二つに切り裂かれた。
地上に着地する良太郎。そのすぐ後に真っ二つになったアレクシスが落ちてきた。
良太郎はアレクシスの死体に近づくと彼女の死体はシューシューと音を立てて蒸発していった。
「……アレクシス」
良太郎は悲しい顔で目をつぶった。そしてしばらく立ちすくしていると目を開け涼子達の方へと歩いていく。
そして何事も無かったように寝ている涼子を見て安心したのか良太郎はホッとしたように呟いた。
「さてと……後始末だな」
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