第236話 子宮から母乳が出て来そう

 3日目の予定はすべて終了し、ホテルに帰った。

 明日が最終日で東京に帰る日だ。

 過ぎてしまえば短い。

 

「明日、国際通り行くけど、お土産何がいい?」

『えー……沖縄土産って何があります?』

「サーターアンダギーとか、紅芋タルト……」

『ちんちんすこうとかですか?』

「ちんが一個多いよ、それは」

『ちんこすこうは存在するみたいですよ』

「そっから離れよう、ね、そんな連呼する単語じゃないよ」

 

 だがこの数日、通話をする度に美冬の発言に上品さが失われていく。正に有り余っているのか、溜まっているのか。溜まっているのはストレスの方か。

 

 3日目の夜ともなれば、廊下での長電話も慣れてしまった。慣れた矢先に帰宅なので、慣れただけ損な気分でもある。

 

「なーんか過ぎてしまえばあっという間だった気がする」

『は? 美冬にとっては非常に長く感じましたが』

「旅行って言うにはスケジュールに追われて、観光とかそれどころじゃなかったんだよね」

『いや、そういう話じゃあ無いんです』

「え」

『いいから早く帰ってきてくださいホントに』

「あ、そういう話か。なんかごめんね」

『わかってます? わかってて謝ってます? 適当に言っておけば良いやみたいなヤツじゃないですよねえ』

「寂しい思いさせてごめんね」

『わかっているなら良いのですが、なんですか、この、やり場のない怒りのような何か』

「明日までの辛抱だから」

『なんかもう、色々と辛すぎて子宮から母乳が出て来そうです』

「どんな体の構造してたらそうなるの……」

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