第235話 (´ε` )
観覧車に乗りたいと言う美冬の上目遣いを退けた際には当然猛抗議を食らった。正直に「みふのおっぱいが気になってそれどころじゃない」と言ったところ、ひとしきり笑われた後に「それは仕方ありませんね」と観覧車は許された。
その後にやけに胸元見せるように前屈みになったり、「沖縄は暑いですね」と襟元を扇いだりしていたが。
午後は班行動で水族館に行く。
他の班員が居る関係で美冬を喚ぶことは出来ないが、精神衛生上はむしろ良い。
もはや魚を見るどころではない程の人混みで、押されたり立ち往生を食らったりなど、純粋に楽しむことは難しい。班行動だが班に雑談が出来るような友人も居ないので、美冬の胸の件とはまた別に精神的な負担がかかる。
ふと、イルカやらマナティーなんかの、知能が高いとされている生き物の前を通って思い出した。
ある研究では、動物園で展示されている動物は、やってくる人間を見て面白がっているのだという。
ひとまず、何枚か写真を撮って送ってみた。
一瞬で既読がつく。
そして、ある一枚の写真に美冬が食らいついた。
『チンチンアナゴ』
犬のチンに顔が似ているからと名付けられた、意外と顔がイカツイ、チンアナゴ。彼らは己が適当な名前をつけられ、低レベルな下ネタで遊ばれていることは知らないのだろう。
他にも、クマノミが良い感じにイソギンチャクに隠れている写真を送れば
『触手プレイ!?』
ヌタウナギの写真が混ざっており、それを敢えて引用して
『ローションプレイですか!?』
「大丈夫? 疲れてる?」
むしろ心配になった。
家と沖縄を行ったり来たり繰り返して疲れているのだろうか。
本気で心配して進はメッセージを送ったが、もはや美冬はバグっていたらしい。即答で返ってきた返信はこれだ。
『疲れてませんよ(´ε` )』
『むしろ有り余ってます♡』
せめて最後の謎についたハートはやめてほしかった。
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