第205話 普段から情緒不安定
「何にしても、原因がわからないんじゃあね」
美夏も一応は身内の一大事(?)だからと真剣に考えている。
以前、従兄の照憐が同じ事になった。だが理由が「どんな原理で変化できるのかわからない」というモノではっきりしていたため解決が早かったと言う。
今回の美冬の場合、その理由がハッキリしないため手の施しようがない。
「とりあえず薬でも飲んでみたら? 精神安定剤とか。どうせ普段から情緒不安定なんだし」
「何ですかそれ。美冬は心身ともに健康そのものですから? ねえご主人様? そうですよね? ね゛?」
「そう……だね」
「すぅ様、ミフ姉ぇに甘すぎ」
「みふに原因がないということは、本当に俺に原因が──」
「ないない、このゴミ姉ぇに限って絶対にそれはない。どーせ、ちょっと調子が悪いフリでもしとけば構ってくれるとか思ってるんでしょ、このメンヘラ地雷狐は」
それを聞いた美冬の耳がピクピクと動く。
「ちょっと、何ですかメンヘラ地雷て! どこがメンヘラで地雷だって言うんですか!」
「顔つきから存在感、服のセンスまで全部が地雷」
「服のセンスっ!? あの、は? あのピンクシャツに黒のミニスカみたいな地雷系ファッションっていうやつですか? 人生で一度も着たことないんですけどっ」
「でも黒いワンピースとかジャンスカなんかは着てるでしょ」
「……いや、あれは、あの、いつも着てるわけではなく……その、たまに、で、普段はもっと普通のを着てますし……」
どこかキョロキョロして言い訳を探す。
「あ、あと、ほら、ラーメン! ラーメンとか食べに行くときなんか黒い服とか跳ねても目立たないですし、ね?」
だがどうにも見苦しい言い訳にしか聞こえてこない。
「……だって、普通に可愛いと思ってましたし……ご主人様も、聞いたら、似合うって……言ってくださったから……」
「聞かれたらとりあえず似合うって言うにきまってるじゃん。バカなの?」
そして観念した白状は、美夏にバッサリと切り捨てられてしまった。
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