第195話 こいつら交尾したんだ!

「おかえりなさいご主人様今日少し遅かったですね何かあったんですかまあ細かいことは良いですよねご飯にしますそれともお風呂しますかあーっとその前におかえりのちゅーがまだでしたよねちゅーしましょちゅー? あれ? ね、ちゅーは? ちゅー……」

 

 美冬のいつもよりテンション高めの出迎えは、進の隣を見て段々と落ち込んでいった。

 

「……は?」

「いや、あの、これは」

「待ってください言い訳は聞きたくありませんし聞く気もありません美冬はこのブスと少しお話があるので先にお部屋に入っていて貰えますか」

「一応、ラインしたんだけど」

「ら……いん? とにかくこのブスとお話があるので。まあいいです別にご主人様が居ても出来る話ですし」

 美冬は進の腕を掴んで、進の隣に困惑した表情で突っ立っている芙蓉を睨みつけた。

 

「あなたのお名前は知りませんし覚える気も無いしどうでもいいのでブスとお呼びいたしますけども、なんでブスがここに居るか存じ上げませんがお引取りください。今から美冬とご主人様は赤ちゃんを作るので邪魔なんです。消えてください」

「赤ちゃ……え?」

「もっとわかりやすく言いましょうか? 美冬とご主人様は今から交尾をしますので、お引取りください」

「交尾……交尾!? え゛え゛!? ご、ごめんなさいっすぐ出て行きますっ!?」

 

 そして芙蓉が顔を真っ赤にして来た方向へ向かおうとしたが、すぐに足を止めてしまった。

 

 そこには、一人の女子高生が立っていた。

 まるで何か見てはいけないようなものを見てしまったかのような顔で。

 普段はゆるふわ女子を自称する、天パ女子。

 進の元同僚で、美冬が2番目に嫌いな女。満里奈だ。

 

「こ、こいつら……」

 

 信じられないとでも言うように、ゆるふわどころかプルプルしている。

 

「こいつら交尾したんだ!!」

 

 †

 

「交尾言うな」

 美冬が満里奈を睨みつけながら、ガンッと茶の入った湯呑を置いた。

「だってえ美冬がそー言ったんじゃん」

「それは、このブスでもわかる様に言ったんですよ。ちゃんと最初は赤ちゃん作るって濁しましたからね?」

「え〜? でもぉ妖怪と人間じゃ遺伝子とか染色体? が違いすぎて赤ちゃんできないんじゃなかったぁ? ん? でも赤ちゃん欲しいから交尾するんじゃないのぉ?」

「うっせえですよ。ご主人様とどうやっていちゃいちゃしようが美冬達の勝手じゃないですか。外野は引っ込んでてください」

「えぇ〜ウチも外野ぁ? ひどぉーい!」

「それどう言う意味で言ったんですか。回答次第では今ここで殺しますよ」

「わあ相変わらず怖いなあ美冬は〜冗談だよお」

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