第191話 誰から殺せばいい?
「思ったんですけど、あの蛇、凍らせれば良かったんじゃないですか」
美冬がふと呟いた一言で、進の美冬の髪を洗う手が止まった。
「……その発想は無かった。ま、ま、多分、防壁で魔法通らなかったと思う。うん。そういう事にしておこう」
「そうですか」
「うん。じゃあ明日とか学校行ったら試してみる」
「は? それを口実にあのブス女に近付く気ですか」
「そうじゃないけどさ……」
「許しませんからね。もし近付いたら匂いでわかりますから。そうなったらご主人様の手足切り落として冷凍保存ですから」
「わかったわかった近付かないようにする」
「ええそうしてください」
髪の泡をシャワーで落とし、トリートメントを髪に馴染ませる。
「なんでこうもすぐに厄介事に首突っ込むんですかね。全く。そもそもなんでこうも都合よくご主人様の学校に霊感強い女が集まってるんです? これで3人目ですか? どういうことなんですかね。本当に都合良すぎませんか?」
「偶然じゃないかな」
「そもそもご主人様は仲良い女が多すぎると思うんですよ?」
「そ……うかなー……?」
「誰から殺せばいい?」
「やめいやめい」
「むしろ男友達が極端に少ないですよね。うーん、高千穂くらいですか?」
「教授と蒼樹さんと、照憐君とも仲良いし」
「ほぼオッサンじゃないですか。照憐君をおっさんに分類するかどうかは微妙ですけど、それでもオッサンじゃないですか。オッサンと仲良いってそれ、オッサンはノーカンでしょう?」
「オッサンオッサンって言ってやるなよ……」
「オッサンには変わりないじゃないですか。前にご主人様が病院に運ばれた時、真っ先に来たのがオッサンだったのはびっくりしましたよ。なんでそんなオッサンと仲良いっていうか、オッサンに好かれるんですか?」
「知らんけど……いや、うん、知らんけど……」
なんでこんな話になったんだっけ、と一息つく。
下手に話すと自身が惨めに思える話題しか出てこない。変えられる話題を適当に探す。
「そういえば、一緒に風呂入ったの久々な気がする」
「美冬は毎日一緒でも一向に構いませんが」
「いやぁたまには一人でゆっくりしたいんですけども」
「それって美冬が邪魔ってことですか。もしそうだったら泣きますよ」
「えっとぁぁごめん嘘、明日から毎日一緒に入ろう」
「それ約束ですからね」
話題を変えた結果、大変なことが決まってしまった。
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