第188話 地雷メンヘラ狐
井上芙蓉
出身は岡山
数年前 家族で東京に移住
家はそれなりに裕福……だったが、今はそうでもない。
本人から話を聞いたり、アリスとサラ達が行った調査ではそんな感じだ。
トウビョウに憑れたのは東京に来てからで、それ以降に家庭環境が悪くなり始めたという。
誰かに嫌われるような事をした心当たりは無い。
「美冬はこのブス女のこと嫌いですけど」
美冬がその一言を発した瞬間、誰もが一瞬美冬のことを「うわまじかよこいつ」という顔で見てしまった。
「だってこのブス女のせいで? 昨日今日と、ご主人様との時間を邪魔されたわけですから? 嫌いになっても仕方ないと思いませんか」
そして勝手に続ける美冬を見て「聞いてねえよ黙れよメンヘラ」としっかり美夏が制止する。
「待って下さい美夏、最近美冬はよくメンヘラメンヘラって言われるんですけどメンヘラじゃないですから。なんですかメンヘラって。心外ですよ、まったく」
「自覚無し……。すぅ様、よくこんな地雷メンヘラ狐と一緒に居られるよね。ある意味凄いよ」
「地雷っ!?」
美冬は正に心外だと言わんばかりの反応。進は乾いた笑いを漏らして「そんなことないよ」と言うが、隣で聞いていたサラはしっかり頷いた。
「ゴミ姉ぇ、顔とか服のセンスがメンヘラ。存在感からして地雷。もはや埋まってない」
「進も進で庇護欲そそられるし、そういう意味では似合ってるんじゃない? 美冬の場合『私がいないとこの人は駄目になる』とか思ってそう」
「うわないない、サラさんそれない。すぅ様の方が包容力高めだからメンヘラが依存するのに丁度いいんじゃないの?」
「ええ〜? よく蒼樹とか『面倒見る甲斐がある』って言ってたけど? わたしもそう思うし」
「蒼樹さん意外とキモい。とにかく、すぅ様は、もうこんなメンヘラからあたしに乗り換えよ? あたしだったら、こんな粘着地雷みたいな事しないからお手軽だよー?」
ドンッ、とローテーブルが強く叩かれる。
「美夏〜? ご主人様の事は諦めろと何度言えばよろしいので?」
「は? そっちこそ邪魔なんだよクソ女」
「はいはい喧嘩しないの、姉妹なんだから仲良くしなって」
ガチ犬になだめられる狐っ娘姉妹。
もはや進は何も言わず、さもいつも通りの事だと言わんばかりに茶を啜る。事情も状況もわからず話に付いていけない芙蓉は困惑するが、進に「あんま気にしないで」と言われ、余計に困惑する。
いやお前が一番の火種なのに、なんでそんな涼しいい顔しているんだ、と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます