皇城にて9(三人称視点。過激描写注意)

 既に理性が切れたハルトは、グレイスのドレスに手を掛ける。


「ちょ、やめ……っ」


 グレイスが慌てて止めるが、膂力が違う。

 枷を外したハルトは、鍛えたグレイスすら片腕でねじ伏せる程の力を出していた。


「い、嫌っ……んむっ!?」


 キスで黙らせられ、ハルトの素肌を強引に密着させられる。


「何故ですか、姫様?

 何故お世継ぎを作るのが、嫌なのです?」


 ややあって、唇のいましめを解かれた。

 耳元で、ハルトが囁く。


「何故、って……。

 お世継ぎを作りたいのはやまやまですけれど……。まだ、二人きりでいたいのです、わたくしは……」


 顔を真っ赤に染め、すっかり蕩けきっても、精一杯の気力を振り絞って言葉を放つグレイス。


「可愛らしいですね。

 でしたら、余計に作りたくなってしまいます」


 だが、今のハルトには逆効果だった。

 今度こそ容赦なく、しかし破きはしないで、グレイスを暴く。


「ッ……」


 自身の抵抗が無意味である事を悟ったグレイスはこの後の自らの運命を悟り、狐耳と尻尾をびくびくさせて怯えていた。


 ……自身に被虐願望がある事を悟りながら。


「んっ……」

「んっ、ぴちゅ、くちゅ」


 そして、再び二人は唇を重ねる。

 今度は相手を黙らせる為ではなく、互いを貪る為の下準備として、であるが。


 かくして、二人は徐々に体が熱を帯びるのを確かめ始めた。


     *


「姫様……❤」

「騎士、様……❤(あぁ、わたくしは一体どうなってしまうのでしょうか……❤)」


 ベッドの上で四つん這いにさせられ、ハルトに腰をがっちりと掴まれたグレイスは、あてがわれた熱に恐怖と高揚を覚えていた。


「「ッ……」」


 二人の声が響く。互いが溶け合った感覚が全身を駆け巡る。


「ッ、はぁ、はぁ……❤」


 たったそれだけで、グレイスは腕を突っ張っていられなくなる。

 たちまちの内にくずおれ、顔と胸をベッドに押し付ける格好となった。


「姫、さまっ……❤」


 最早ハルトに理性など残っていない。彼は腰を掴みながら、自らを叩きつける。


「ふあっ、あん、あぁっ❤(これっ……❤ まるで、狐の、こ、こう、び……ッ❤)」


 グレイスもまた、せり上がる快感に脳髄を溶かされる。


 二人、いや二匹のけだものは、お互いが相手の存在を自らに刻み付けようとし、またお互いが自らの存在を相手に刻み付けようとしていた。


「ッ……姫、さま……❤」


 ハルトがグレイスにすがりつきながら、胸元の豊かな果実を手で貪る。

 グレイスはハルトの体温を背中全体で感じながら、少しずつ限界を迎えていた。


「あっ❤ やら❤ やらぁっ❤(こんなの……乱暴なの、にぃ❤)」

「…………!」


 ハルトがグレイスを、がっちりと抱きしめる。

「逃がすつもりはない」、そう無言で告げていた。


「んん……っ!❤(ひあっ❤ これっ、間違いなく……❤)」


 逃げられない事を悟ったグレイスは、歯を食いしばる。


「………………ッ!」

「~~~~~ッ!❤(あつッ……! ああ、とうとう騎士様に……❤)」

「っ、はぁ、はぁっ……❤ 姫、様……❤」


 ハルトからの熱を受け取ったグレイスは、目尻に涙を浮かべながら、恍惚の余韻に浸っていた。


「騎士、様……❤」


 一度繋がりを解いたグレイスは、仰向けになってハルトの姿をまじまじと見る。


「姫、様……❤」

「乱暴、なのですね……❤」

「ッ、それは……」

「いえ……❤ ふふっ、こういうのも、悪くはないと思っただけですわ……❤」

「その言葉に、甘えさせて下さいませ……❤ 姫様……❤」

「んっ……❤ ふふ、騎士様ったら……❤」


 すがりつくハルトを優しく抱きしめるグレイスは、柔らかな笑みを浮かべた。


「でしたら、騎士様……❤」

「何でしょうか、姫様?」

「次は、騎士様のお顔を見ながら……❤」

「ッ……❤」


 生唾を呑み込むハルト。すぐさま求めるものを満たそうとする。


「あんっ……❤」

「ッ……❤ 姫、様……❤」


 騎士と姫は、互いの“愛しい人”の顔を見ながら、再び熱を共有した。


「んっ……❤ ぴちゅ、くちゅ……❤(騎士様、激しい……❤)」

「んんっ……❤」


 欲しい。体も、唇も、全部まとめて。

 今のハルトは、その感情に肉体からだを支配されていた。


 ぴちゃぴちゃという音が、響く。

 最早どれがどんな事による音なのかすら、分からない程に。


「んっ、んむぅっ、んんんっ❤(もう、どこまでがわたくしなのか、まるで分かりませんわ❤)」

「んんっ❤」


 二人は溶けあったような感覚に浸りながら、愛する人の顔を見て興奮に駆られていた。


「んぁ、あっ……❤(ふあっ……❤ 騎士様のが、膨らんで……❤ また、わたくしに刻み付けようと……❤)」

「……ッ❤」


 やがて、二度目の限界を迎えようとする。


「ッ……❤ ちゅっ、んんぅっ❤(駄目……❤ はしたない声、出ちゃ、うっ……

!❤)」

「……❤」

「んんっ❤ んっ❤(あんっ❤ 腰を掴むなんてぇっ❤ 騎士様、本気なのですね……?❤)」


 と、ひとしきり通った音が部屋に響き渡る。

 同時に、ハルトが歯を食いしばっていた。


「………………ッ!」

「んんんん~~~~~っ!!❤(あぁっ……❤ また、わたくしの中に刻み付けて……❤)」

「ッ……❤ はぁ、はぁ……❤」


 再び、同じ瞬間を共有したハルトとグレイスは、互いをゆるく抱きしめていた。


「もう……❤

 間違いなく、お世継ぎが……❤

 まだ、わたくしは21を過ぎたばかりですのに……❤ ねぇ、騎士様?」

「良いではありませんか、姫様……❤

 地球では、既に婚姻を結べるお年なのですよ?❤」

「ふふっ、ああ言えばこう言う……❤

 そうですわね、騎士様……❤」


 グレイスは天井を眺めると、蕩けた声で呟いた。


「近々、正式な婚姻を結びましょうか? うふふ……❤」

「姫様……❤

 では、その前祝いに……❤」


 グレイスの言葉に調子づいたハルトは、再び腰を動かし始める。


「あんっ❤ こらぁっ❤ らめぇ❤ 乱暴なのはぁ❤」

「んっ❤ 姫様ぁ❤」



 その後二人は、朝まで互いを求めていたそうな……。

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二人の熱 有原ハリアー @BlackKnight

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