皇城にて4(一人称視点)

「うふふっ、騎士様……♪」

 例によって、僕は姫様の寝室へと招かれた。

「相変わらず、美しいですわ……」

 でもって早速、僕は姫様の慰み者となっている。まあ本望だけど。

「この毛並み……。そしてこのもふもふ……。うふふ、いつまでもこうして、抱きしめていたくなる尻尾ですわね……」

 姫様はいつもこうだ。

 狐の獣人である僕の毛並み、特に尻尾を、もふもふして感触を味わうのだ。

 まあ、否定はしない。

 僕と同じ狐の獣人である“父さん”と同じく、皇族の女性に愛される毛並みなのだから。

 姫様が望まれるのなら、存分に味わっていってほしい。

「ふわぁ……。上質な毛布にくるまれたような気分ですわ……」

 もう悦に入っている姫様。

 僕はこっそりと、彼女の頭に左手を添える。可愛いよ、姫様。

「ん……。騎士様、ありがとうございます……」

 ふふ、こうして安らぎを感じてくれているなんて、騎士冥利に尽きるよ。




 ところで、獣人は尻尾をもふもふされると、大抵は力が抜ける。下手をすれば、気を失いかねない程に、ね。

 けれど、僕は特異体質なのかもしれない。


 そう、平気なんだ。


 いくらもふもふされても、不思議と力は抜けない。いつも通り、動く事が出来る。

「不感症」だって? フフフ、そうかもしれないね。

 とは言っても、流石に例外はあるよ。

 それは「霊力補給の時間」または「姫様との夜の行為」の時さ。

 この時ばかりは、とても敏感になってるからね。撫で続けられると、少しずつ焦らされるような感じになる。

 そしてそれが限界に達すると――ふふ、「女の子になったような気分になる」のさ。あるいは、「の女の子の気持ちがわかった錯覚を抱く」とも言えるね。わかるかな? もっとも僕は、肉体・精神、共に男だけどね。

「んんっ、騎士様ぁ」

 おっといけない。

 そんな可愛らしい声を聞いてしまっては、僕も限界になってしまうってものだね。




 さて、姫様が満足されたら、僕も満足させてもらおうかな。

 今夜もじっくり、味わわせてもらうよ。姫様。

 そうだ、最後にこれだけ言っておこう。

「あんたら付き合ってていいのかよ!?」なんて声が聞こえるから、それに対する説明ってものだね。


 結論から言おう。許されてる。


 と言うのは、皇帝陛下曰く「帝国全土を救ったのですから、このくらいは当たり前です。十分な武功に見合う報酬は、これを最初に思いついたのですから」だってさ。

 ホント、頭が上がらないよ。お義母かあ様。

「ねぇ、騎士様……」

 おっと、姫様が満足されたようだね。

 それじゃあ僕も、思う存分満足させてもらうとしようかな。フフフ。

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