悪魔の囁き

「おはようございます。」


「おはようございます。」


もう朝か、昨日はホントに色んなことがあったな。

全て夢であってほしいな。

目を開けたらいつもの家のベットで寝てて、リビングに行ったら皆がいて・・・。

そんなわけないよな。

今の自分は川上安祐美だ。

目を開ければ警察署の中にいるはずだ。

きっと昨日の女性警察官が私を起こしに来たんだろう。


「おはようございます。」


「今起きます!

 ・・・!?」


「お目覚めですか、栗原鉄也様。

 さあこちらへどうぞ。」


僕はベットから目の前の椅子いすに座った。

何が一体どうなっているんだ!?

何故俺の本当の名前を知っている!?

それにここは何処だ!?


「ここはあなた方人間が言う悪魔の世界と人間の世界の狭間はざまに私が作った空間です。

 あなたのことは今までずっと見てましたよ。

 修学旅行の帰りから。」


何も言ってないのに僕の思考が何で!?


「それはここが私の作った空間だからです。

 口に出さなくても、心で思うだけで私に全て聞こえております。

鏡を用意致しました。

どうぞご自身の体をご覧下さい。」


目の前の自分の姿を見ると、川上安祐美ではなく、栗原鉄也くりはらてつやの姿があった。


僕の体だ!

こんなことまで出来るなんて、一体何者だ。


「私は、そうですね・・・。

 ゼルとまをします。

 そしてあなたの救世主であります。」


「どういうことだ?」


「はい、あなたは一度死にました。

 そこからあなたに新たな体を渡したのは私です。

 他にご質問はございますか?」


「どうしてだ?

 何故こんなことをした?

 俺を助けてお前に得があるんだ?」


「得ですか・・・。

 得は大いにあります。

 それは暇つぶしが出来ることです!」


「・・・、は!?」


僕は驚愕きょうがくしてしまった。

暇つぶしで人の命を操るなんて・・・、最高だ!


「!?

 これはこれは、私はとてつもない人間に出会えたかもしれませんね。

 それでは、本題に入らせていただきます。

 あなた様には選ぶ権利があります。


 一つの道は、このままあなた様の好きな川上安祐美として生きていく人生。

もしこちらを選択されましたら、今後の人生寿命の満期まんきむかえるまで、この私が命の保証をお約束致します。

川上様の性格はおすすめしませんが、顔も綺麗きれいでスタイルも良い方ですから、あなた様でしたら今後の人生はとても良いものになるでしょう。


二つ目の道は、あなた様とあなた様の家族を殺した犯人を探し続ける人生。

もしこちらを選択されましたら、今後あなた様が犯人を捕まえるまで、この私があなた様をあらゆる面でフォロー致します。

その代わりと言ったらなんですけど、途中で止めることは出来ません。

もしこの私が止めたと判断しましたら、あなた様に悪魔の刑を降させていただきます。


「それはない。

後者だ。

俺は後者を選択する。」


俺は迷わず即答で答えた。


「承知致しました。

犯人が早く見つかるのを、私からも影から願わせていただきます。

無事あなた様が犯人を捕まえた時点で終了となりますが、報酬ほうしゅうの方も考えております。

それは、あなた様の元の体と時間をあの日の朝に戻して差し上げるということです。

あなた様にとってはこれ以上にない報酬だと思います。

ぜひ、頑張って下さい。

それでは、またお会いする時まで失礼致します。」

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悪魔のひまつぶし オレガ @saus

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