第6話 ナースコール

ナースコールとは、看護師を呼ぶために必要なものである。押したときにナースステーションから音が響き渡り、誰が呼んだかわかるようになっている。私は学生のころにナースコールを押すときは、躊躇していたなぁと今でも思いだします。

いまでは、祖父母のお見舞いのときにナースコールを躊躇せずにポチポチ押して看護師さんを呼んでしまいます。

患者さん・家族曰く、「こんなことで申し訳ない」との思いが強いのだとか・・・

たしかに、申し訳ない内容な時もありますが、看護師側としては押していただいて大いに結構。

私の病院にはナースコールが2種類ある。一つは、各病室にコードで繋がっているコード型のナースコール。もう一つは携帯型のナースコールでコードがなく、デイルームなどにおいてあるナースコール。


今回は携帯型のナースコールのお話。

ある日、デイルームに置いてあったナースコールが押しずらく、音が鳴らなくなってしまった。テーブルから落としてしまうこともあり、故障してしまったようだ。何度か押していると、ナースコールの音がなり、

あっ治った!と思っていると、目の前のおばあちゃんが

「私が押したのよ。ウフフ」

と話す。

「どのようなご用件ですか?」

「ふふ、あなたがナースコールと押しているのを見たから。ウフフ。」

なんとも優しいおばあちゃん。

しかし、おばあちゃんの善意は私には報われていなかったよお。

ありがとう、しかし、ナースコールは治っていなかった。

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