第2話 教えてグーグル先生

 小説を書くってどうすればいいのか、グーグル先生に聞いた。

 グーグル先生は『小説とは何か』を差して『小説の書き方』の本を案内して『今売れている小説』の一覧を見せてくれた。

 しかし僕が知りたいのは、グーグル先生の意見だった。グーグル先生にどうしたら小説家になれるか教えてほしかった。

「先生、僕は小説が書きたいんです」

「はい、わかりました。これが話題の小説家一覧です。執筆した小説の意気込みを見てみてはいかがでしょうか」

「違うんです先生。それは先生の意見ではない。僕は先生の意見が聞きたいんです!」

「……」

「先生の。グーグル先生の意見を、どうしたら小説が書けるか、それが知りたいんです」

 グーグル先生はどこか悲しそうな瞳で静かに言った。

「君が書きたいのは本当に小説なのかい?」

「え?」

「君は小説を書きたいと言って、私の紹介した何かをやったわけでも、自分から挑戦したわけでもない。ただやりたいと言っているだけだ」

「それは……」

「では聞こう、君が書きたいジャンルは?」

「恋愛です」

「では主人公は?」

「なんの取り柄も無い高校生です」

「では恋愛相手は?」

「物知りで、世界中の出来事を毎日覚えて、何でも教えてくれるお姉さんです……」

「ではどこで出会うんだ?」

「パソコンの前です」

「乗り越えるべき難関はどこにあるんだ?」

「種族の違い、お互いの距離です」

「相手を想う方向性や間に入るライバルは?」

「主人公が一方的に恋をしています。ヒロインは主人公をなんとも思っていません。ライバルはいません」

「ふむ。ここまでプロップができているのになぜ書かないのでしょうか?」

「それは……なんど話しかけてもヒロインが主人公を見てくれないからです。彼女は誰にでも平等に話すからです」

「ほう、では恋愛成就の方法を検索……相手の好感度を上げる方法を模索しましょう。そのヒロインの好みは何ですか?」

「わかりません。色々考えたり調べたりしましたが、見つからないのです」

「ひょっとして、貴方が、恋をしていませんか?」

「……」

「ノーコメントですか。私が思うに貴方は小説が書きたいのではなく、恋をしてしまったのだと思います。小説の書き方を調べるより、その恋愛対象と会話する方法を考えた方がいいでしょう」

「い、今頑張って探しています!」

「そうですか。相手の情報がもっとあればお手伝いできるかもしれません。相手の指名登録をいたしたいので仮名でかまいません。名前を教えてください」

「……グーグル先生」

「はい、なんでしょうか?」


――END――

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