空が青いからアイスおごって
@waruko
空が青いから
空が青いと感じた。
2回目の期末テストの最終日だった。
友人が告白を受ける瞬間を私は待っている。馬鹿みたいに校舎裏に呼び出されていた。何でもないけど呼ばれたからちょっと行ってくるね、そういった彼女の瞳は自信に満ちていた。あぁ、彼女は理解している。彼女は自分が彼に選ばれるのを知っている。わかってる。私みたいな冷たい女より男は誰だってかわいらしい彼女を選ぶ。私は冷めた目で彼女の背中を見送った。
「わかった、まってるね」
多分彼女と帰るのは今日で最後だ。これからきっと彼女はこういう、さっき告白されちゃった、それでね、付き合うことになったの、だから、これからは。彼女はうつむくだろう。そして私は笑顔でこういうだろう。
「おめでとう、明日から彼氏と帰りなよ」
妄想終了。暑い。蝉の音が鳴りやまない。
最後の爽やかな自分の笑顔まで想像しながら私はベンチ腰かけている。
彼氏を手に入れるであろう友人を私は待っている。
きっとあと5分たったら、彼女は私のもとに告白の報告をしに走って戻ってくるだろう。
蝉の音が鳴りやまない。あぁ、アイスが食べたい。
*
空が青いと感じた。
2回目の期末テストの最終日である。
多分きっと告白を受けるのだろう。下手に校舎裏に呼び出された。友人にはきちんと待ってもらってある。何でもないけど呼ばれたからちょっと行ってくるね、その声は上ずっていなかったろうか。自分の芝居の下手さが心配である。彼女は私を放っておいて先に帰らないだろうか。私は指定された校舎裏を目指す。でも大丈夫。
「わかった、まってるね」
と彼女は言ってくれたのだ。多分彼女と帰るのは今日で最後だ。これから私はこういう、さっき告白されちゃった、それでね付き合って欲しいんだって、だから、これからは。私は俯いてしまうだろう。
でも私は決めているのだ。ずっとずっと前から。彼に相談された時から。
「おめでとう、明日から彼氏と帰ってね」
想像終了。熱い。蝉の音が鳴りやまない。
彼女の驚いた顔を想定しながら私は校舎に寄りかかる。
これから彼氏ができる友人を私は待たせている。
きっとあと5分たったら、私は走って彼女に報告しにいくだろう。
蝉の音が鳴りやまない。すべてうまくいったら
アイスをおごってくれるだろうか
「あのね、付き合ってほしいんだって」
「「おめでとう」」
「は?」「え、私の話じゃないよ」「え、私?」「そうだよ!」
空が青いからアイスおごって @waruko
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