第14話 デートorデス
「じゃあ帰るね」
今日は土曜日なので学校が、親父がシフト外で一応、休みだ。
その為、俺達は家族で玄関にて歩きたい、と言う蕾を見送った。
コイツ本当に頑丈になったな。
昔は違ったんだが。
って言うかそれ以外に思ったが、蕾って何処に住んでいるのだろうか。
「お前.....そういや今は何処に住んでいるんだ?」
「.....あ、言ってなかったっけ?隣町の3丁目の3番地だよ」
「.....聞いたっけか?悪いな。.....じゃあ今度行くわ。メッセージでも送って」
そんな俺の言葉に嬉しそうに反応する、蕾。
そして、うん、待ってるよ、とその様に笑顔で話す。
俺はその満面の笑みに笑みを返す。
お互いに、少しだけ赤くなりながら。
一歩が?を浮かべている、危ない。
「.....でも、無理はしないでね。いつでも良いよ」
「そうだな。でも近々行くよ。宜しくな」
「うん。分かった。.....えっと、じゃあ行くね」
「じゃあ、また蕾さん」
俺達は手を振る。
それから、蕾は駅に向かって歩いて行った。
4月になろうとして寒い中なのに元気だな、マジで。
俺の最後に見た蕾とはえらい違いだ、と思いながら笑みつつ一歩を見る。
ん?何でこんなに赤いんだ?
「.....どうした?一歩」
「ふえ!?な、何でも無いわよ!」
俺の言葉にふいっと横を向く、一歩。
そういや、さっきからだな、こんなに赤いのは。
発熱でもしてんのかコイツ。
思いながら、後ろを見た。
「.....有難う。親父、三宝さん」
「送り出しは当然の事よ。心配しない」
「そうだ」
取り敢えずは中に入るか、その様に親父が言う。
そうだな、寒いしと思ってもう一度、一歩を見た。
その場で赤くなりながらモジモジしている。
何だよコイツ?
「.....き、昨日の事は.....忘れて.....」
その様に、話した。
何だよ、ずっと赤かったのはそのせいかよ。
俺は苦笑しながら、一歩の頭に手を乗せそして言葉を発した。
親指を立てて。
「忘れないけど、忘れるよ」
「ちょっと!どっちよ!」
「ハッハッハ」
まぁ、忘れないだろうな。
一歩から初めて慰めてもらったんだから。
忘れないよ。
と思いつつ家に入る。
☆
ピコン
「ん?メッセージ.....」
暇なので自室で勉強していると。
何かの通知のメッセージがスマホに入ってきた。
画面を見ると、そこには、ゆう、と名前が。
何だこれ?誰だ?
「.....?」
ゆう、という名前に聞き覚え.....は一応無い。
いや先輩とはメルアドを交換してないから、だ。
変メールの様な感じで入ってきたので、開くのを躊躇ったが。
ゆう、に期待を込めて意を決して開いてみる。
そして目に飛び込んできたのは。
「.....お、おい.....」
開くと、そこには巨大な水着の女の子の胸の写真.....が。
ちょ、やっぱ変なメールか!?
と思ったが、下に瀬川より、と書かれていた。
ああ何だ、先輩か.....って何ぃ!?
(何で優センパイがこのアドレス知ってるんですか!?教えて無いっすよね?)
俺は打ってしまった。
仮にも憧れている先輩に対して。
すると、直ぐに返事が来た。
(悠平くんに教えてもらったからだよ。ダーリン)
(ヘァ!?)
だ、ダーリン。
幸せだが.....あの野郎、チクりやがったな。
連れ去られたあの後か。
まぁ良い。
ダーリン呼ばわり最高だから。
(先輩。どうしたんすか?)
(うーん。ちょっと聞きたい事があってね)
(何すか.....?)
(うん、えっと、蕾から告られた?)
まさかの言葉だ。
ブッファ!と俺は唾を吐き出した。
何を言ってんだ!
真実だけど!
(えっとね。もし告られたんなら.....大切にしてあげてね)
(付き合いませんよ)
(え?どうして?)
(俺は付き合えないんです。すいません.....期待を裏切る様な結果ですけど)
返信が止まった。
俺は少しだけ考える。
言わない方が良かったか?と思って。
すると、返信が。
(君にも色々有るんだね)
(そうですね)
(じゃあ、丁度良い機会だ。もし蕾と付き合った時の為に予行練習しよっか。明日、待ち合わせね。10時、この街の鉄塔。じゃあね)
(ちょ)
対応しきれず。
雪崩の様に打ってきた先輩に。
って言うか何!?予行練習!?
俺が!?優センパイと!?
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