第10話 瀬川優(せがわゆう)
何だかさっぱり分からんな。
俺はその様に思いながら『帰れ』と言われたので仕方が無く自室に戻って来た。
そして、教科書のラノベをベッドに放っぽり出して。
耳にヘッドホンを着けてベッドに横になる。
「全く、一体何を話してんだか。まぁ良いけど.....女の子同士の会話なら乱入するのも問題だからな」
俺はその様に思いながら、ライトノベルを読む。
そして、アニソンのリズムに乗ってみる。
その時だった。
バァン!!!!!
「あぁ!?」
いきなりだった。
ドアがぶち破られる様な感じでドアが開く。
何事かと顔を上げる。
目の前には一歩が俺を見下す様に立っている。
何だ何だ、火事ですか!?
「和幸」
「は、はい?」
「.....私と蕾さんと付き合うならどっちと付き合いたい?」
「なッ!?」
ハァ!?俺は眉を顰めた。
一体、どういう事よ!?
と思っていると、蕾までやって来た。
その様子は期待に満ちている。
お前ら一体何を!?
「.....一歩。落ち着け。俺はな、ゆうちゃ.....」
「グラビアとかジョークは無しね。付き合える訳無いから」
「.....は、はい。えっとな。俺はお前らと付き合う気は無いぞ。俺はまだ勉強に集中したいのも有るし」
「.....そう」
少し、ホッとした様な感じの一歩。
そして、赤面になる、蕾。
何だコレ?
何が起こっているのだ?
「.....何を話したんだ?」
「ハァ?女の子の秘密を話せる訳無いよね?察して」
「は、はい」
ごめんなさい。
いやでも、何が起こっているのだ?
マジでこれは?
「取り敢えず、和幸。女の子と付き合ったら処刑するからね」
「っちょ、え!?」
「処刑。分かる?私が首を切断するから」
「何怖い事を言ってんだテメェは!アホか!」
良い?と睨んでくる、一歩。
は、はい。としか言いようが無かった。
すまん、何が起こっているのか。
誰か説明してくれ。
☆
「.....全く、散々な1日だな」
俺はその様に呟きながら、真っ暗闇の中。
ベッドに横になっていた。
時刻は23時を過ぎている。
「.....もう良いや、寝るか」
取り敢えず、その様に決め、目を閉じそして眠る。
ガチャッと何か音がした様な気がしたが。
気のせいだろうと眠った。
☆
「スースー」
「.....」
「スースー」
スースーって。
これ俺の寝息じゃねーぞ!?
え!?
俺は飛び起きた。
横を見ると、蕾が肌を出して寝ていた。
おへそが見える。
「ちょ、なっ!?蕾!?」
う、うん。
と言いながら俺にしがみ付いて、胸を押し当てている。
ちょっと待ってくれ。
マジでビックリしたわ!!
「.....柔らかいな.....胸.....って、そうじゃ無い!こんな場面を一歩に見られたら.....!」
「見られたら、何?」
「.....」
冷や汗が吹き出た。
有る意味、これまでで一番。
あ、いや。
この一生で一番。
俺は背後を見てみる。
そこに、一歩がオタマ持って立っていた。
エプロン姿。
「よく似合っているじゃ無いか。エプロン」
「.....胸が大きい子が好きなのね?和幸」
「.....」
キリッとエプロンの事を褒めてみたが駄目だこれは。
一歩は苦笑しながら、ゴゴゴと炎を吹き出している。
マジで効果音まで聞こえるし。
ぶっ殺されそうだ。
「す、すいませんでした」
「へー。ふーん。へー.....」
俺は頭を下げつつ、一歩を見る。
一歩は朝ですからね!!!
と怒号の様に言いながら去って行った。
あ、今日で俺の寿命も終わりか。
と思っていると。
「ムニュムニュ。.....あ。和幸.....」
「おはよう。蕾。取り敢えず、胸の所.....」
「.....はっ!」
蕾が起きて。
赤面で思いっきり胸を隠す、蕾。
そして、俺を見上げてきた。
「.....胸をわざと押し当てていた訳じゃ無いから.....」
「.....そ、そうだな」
なんか昨日と反応が違う様な?
俺はその様に思いながら、眉を顰めた。
「.....取り敢えず、遅刻するからな」
「そ、そうだね」
俺に対して、他人行儀な感じになっている。
クエスチョンマークを浮かべながら、俺は蕾を見た。
蕾はブツブツ何かを言っている。
☆
「えっと.....えっと、こっちだから.....」
「お、おう」
「弁当.....あ、渡したっけ?ごめん.....」
「お、おう?」
なんでこんなにドジになって、赤面しているのかさっぱり分からん。
俺はその様に思いながら、一歩を見るが一歩はジト目だった。
意味が分からないぞ。
「.....ふーんだ!行くよ」
「.....お、おう?」
何が起こっているのかと考えながら。
取り敢えず、俺は学校まで歩いて行った。
☆
「和幸」
「何だ。裏切り者」
「何言ってんだ。お前だよ」
「.....はいはい。つーか、何だよ」
教室に入るとノリノリでツッコミを入れてくる、悠平。
俺はそのツッコミ主にジト目で見ると。
ニヤッと悠平はした。
何だよ?マジで。
「.....知っているか?3年に.....瀬川優ちゃんが入ってくるってよ.....」
「.....な.....ん.....だと.....」
何処ぞの少年漫画の様に。
俺はその様に呟いた。
瀬川優。
グラビアアイドルの神様が!?
コイツ何故それを.....!
「情報料は.....学食2回分な。お前の霊圧が消える前に行って来い」
「.....おう」
一度はあの胸を、顔を見に行かんといけん。
間違い無く、絶対に、だ。
優ちゃんはグラビアの神なのだから、な。
俺はその様に思って早く授業が終わる事を望んだ。
☆
「うおおおお!」
「スッゲェ胸.....」
「顔立ちまで可愛いぞ!」
退けクソ豚ども。
それは俺の獲物だからな!
と思いながら、ぶっちぎって3年の教室に悠平と共にやって来た。
俺は目の前を双眼鏡で覗く。
こんな時の為に持っておいて良かったぜ。
「ちょ、和幸。何でそんなもん持ってんだ。キモすぎるぞお前」
「.....やかましい。遠くでも近くに見えるからな.....」
ウフフフと言いながら。
3年の教室を人混みを押し退けて観察する。
すると、優ちゃんを見つけた。
笑顔がまるで太陽の様な、優ちゃんを、だ。
最高だった。
「.....最高だ.....マジで心が浄化される。生きていて良かった.....」
ホゲーッとする、俺。
いや、マジでその様に思っている。
こんな間近で優ちゃんを、生優ちゃんを、実体を見れる日が来るなんて.....。
その様に思いながら、優ちゃんを見ていると。
優ちゃんはこっちに手を振ってくれた。
俺は、豚どもは思わず振り返す。
その時だった。
「.....あ!君.....もしかして!」
突然の事だった。
アニメの女の子の様なボイスを発して俺達に見開く、優ちゃん。
コッチを指差して、そして囲まれている3年を振り切って立ち上がる。
あ?もしかしてこんなかに彼氏でも居るのか?
優ちゃんには申し訳無いが、イラッとした。
のだが、次の瞬間、優ちゃんはとんでもない言葉を口にする。
「.....やっぱり!君、山本くんじゃ無い?山本和幸くんじゃ無い?」
「.....へ?」
「やっぱり山本くんだ。蕾からよく聞いてるよ。優しい子だって」
「.....へ?」
俺は同じ言葉を二度口にして、瞬きした。
夢じゃ無いのか?これ?
思って周りを見ると、周りが凍りついていた。
悠平は血涙を流しブロック片になっている。
「.....えっと.....ちょ?人違いじゃ?」
「え?山本くんの写真見た事有るけど、勘違いじゃ無いと思うけど.....?え?」
「.....」
何?写真?
嬉しいんだけど。
え、ちょ?何で蕾と知り合いなんだ!?
「クソッタレが死ねぇ!!!!!!!!!!和幸のバァカァアホォ唐変木クソバカ!!!!!」
その様に叫んで、泣きじゃくって乙女走りで悠平が去って行った。
俺は赤面しつつニコニコしている、優ちゃんを見つめる。
何だか周りが殺意に満ち満ちている様な。
「うーん。ここじゃ何だし、こっち行こうか」
「あえ?あ、はい.....」
こうして俺は全校生徒を敵に回したのであった。
蕾のお陰で。
でも、相当に嬉しいけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます