第8話 そもそも2

そもそもに俺、山本和幸は天才とか魅力は無いと思う。

そこらに居る、平凡過ぎる学生で有る。

簡単に言えばスペックの全てが平凡過ぎて話にならないのだ。

だが、その筈なのだが。

義妹の一歩は俺の事を好いているみたいだし、何とまぁラブコメみたいに元幼馴染まで再会して。

ポーカーで言えばロイヤルストレートフラッシュが完成に近くなりそうなそんな感じのややこしさになりつつある。

だが一歩は俺に反発して、好きじゃ無いって言っているのだ。

うーむ、多分それは無いと思うのだが。

俺はこのままで良いのだろうか?

思っていると、横の一歩が目を細めて見てきた。


「.....何しけたツラしてんの?アンタ」


「何でも無い。.....と言うか。うん。ちょっと待て、何だこの状況は」


「うん?どうしたの?和幸」


現状況で俺の近く右手に一歩、左手に蕾という感じで居る。

美少女2名な為か、側に居る男達から相当に俺は睨まれている。

お前ら、そういうんじゃ無いからな。

これ勝手にこうなったんだからな!

しかしそういや、両手に華ってかそんな言葉が有ったよな確か。

今の状況がそんな感じな気がするわ。


「和幸。手、大きいね」


「.....そうか?俺はそこまで成長した様には感じられないんだけど」


「いや、大きくなったよ。私の手よりも大きく」


「.....そうか」


クスクス笑う、蕾。

その笑い方が何とも可愛いものだ。

俺はその様に思いながら居ると。

右から引っ張られた。


「..........」


「.....な、何だよ」


「.....何でも無いけど!?ふーんだ!」


どうしろって言うんだ。

俺はその様に考えながら、ため息を吐いた。

その瞬間、ドサッと真正面から音が。

見ると、鞄を落として立っている、悠平が。

愕然として立っている。


「.....お.....お.....お前!!裏切ったなこの野郎!!」


「何がや!胸ぐら掴むなコラ!喧嘩売ってんのか!」


「ハァ!?喧嘩!?テメェが売ってんだろ!お前は何でそんなに女子に.....クゥ!.....うわーん!!」


何を勘違いしているのだあの馬鹿。

俺を残して鞄を残して走って行きやがった。

顔を引きつらせつつ、去って行く悠平を俺は見つめる。


「何であんなに悲観してるの?」


「お前はマイペースだな.....アレはお前に嫉妬しているんだ.....」


「.....???」


分からんなら良いけど。

俺は横に居る、一歩を見る。

赤くなって居る。


「.....どうした。一歩」


「私達.....そんな風.....あ!?イヤナンデモ!?」


「挙動不審過ぎるぞお前.....」


「そんな事無いっ!!」


黒髪を揺らしながら横を向く、一歩。

いや、有るから言ってんだが。

俺はクソ面倒いと言いながら、去って行った馬鹿の荷物を拾って。

そして運ぶ。

つーか重いなこれ、何が入ってんだよマジで。



「そう言えば、蕾。お前の高校ってどっちに有るんだ?北高?南高?」


「あ、私は北高生だよ」


「北高か.....ちょっと遠いな。気を付けろよ」


馬鹿の荷物を持ちながら、別の方向に向かう、蕾。

俺はその様子を見つつ、手を上げた。

蕾も手を上げる。


「.....あ、忘れてたよ」


その様に呟いて、蕾は何かを取り出す。

布に包まれた、それを。

俺は?を浮かべながら、見る。

良い香りがする。


「.....再会の記念にね。昔作ってたお弁当だよ」


「お!マジで?お前、昔作ってくれてたよな?確かに」


「うふふ」


「..........お弁当.....」


嫉妬の目を蕾に対して向けている、一歩に。

あ、とまた声を上げる、蕾。

そしてピンクの布に包まったのを取り出して、一歩に渡した。

一歩はタジタジしたが、受け取る。


「はい。一歩ちゃんのお弁当」


「あ、有難う御座います.....」


まさかの展開だったのだろうな。

一歩は驚愕している。

俺はツッコミを入れた。


「時間かけ過ぎだ。お前は祖母かよ。マジで」


「あー。酷〜い。私はピッチピチの女子高生なのに」


その様に言い争っている中で一歩は少しだけ悲しそうな顔をしていた。

俺は???と浮かべながら一歩を見つめる。

何でコイツ、こんな顔をしているのだ。


「.....じゃあね。一歩ちゃん。和幸」


「おう、じゃあな」


最後まで、一歩は何か思いつめた様な顔をしていた。

俺は何でそれが思いつめているのか分からず。

取り敢えず、聞いてみたが。

答えが出なかった。



「お前という馬鹿は死ねッ!リア充め!!」


「それが俺に荷物を運ばせた野郎が言うセリフか!?殺すぞマジで」


「やってみろ!俺とお前は体力同じだろうが!」


何、情けねぇ事言ってんだコイツ!

教室に入ってこの様だ。

ニヤニヤしている、教室の奴らの中で俺達は言い争う。


「全くよ!お前みたいな美少女に愛される様な奴は大爆発しろ!」


「お前だよ!!」


違うって言ってるのによ。

ったく、面倒臭いし、説明するのも面倒いわ。

と思っていると教室のドアがゆっくり開いてから。


「和幸。忘れてた」


「!?!?!」


突然の事に俺達は驚愕する。

特に俺が驚愕する。

蕾が立っていた。

この学校の生徒で無い、蕾が、である。

全く別の制服で別の高校に何すんなり入って来てんだ!?

と思っていると、更に蕾がこの場に爆弾を投下した。


「えっとね、今日からお母さんとお父さんが出張で居ないから私、和幸の家に2日だけ泊まる事になっているのを伝え忘れてた。ごめんね」


テヘペロとか口で言いながら。

拳を黄色のカチューシャの頭に当てる、蕾。

数秒間、理解出来なかった。

そして数秒後に教室のマグマが爆発した。

火山噴火が起こったのだ。

って言うか、ちょ、今それを言うか!?


「「「「「なにぃーーーーー!!!!?」」」」」


「ちょ、オメェ、和幸、マジで、絶交だこの野郎!ブッコロス!」


「お前ら落ち着けぇ!」


胸ぐらを掴んできて血の涙を流す、悠平と。

クラスの全員を落ち着かせる。

ああなんて不幸な日だ!

俺はその様に思う。

蕾は?を浮かべて目をパチクリして俺を見ていた。

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