第4話 和幸、義妹を試す

俺達の住んでいるこの街には主に、色々な場所が有る。

図書館、小さいがショッピングモール、街の象徴の鉄塔、海など、だ。

そういうのが有るから、なかなか飽きない。

俺は悠平と別れ一歩の指示通り、学校の近くの図書館に来いと指示されたので向かう、それも走って、だ。

何故なら時間指定が有るからだ。

んで、到着すると俺を見てからツンとしている一歩が居た。

俺はゼエゼエ息を吐く。


「.....あの.....一歩.....お前さ.....無理があんだろ.....5分で来いとか.....走っても10分ぐらい学校から掛かるのに.....」


何を言ってんだよマジでよ。

俺は本気でゼエゼエ息を切らしながら一歩を睨む。

そんな一歩はツンとしながら、前に歩いて行く。

いや、つーか俺の一生懸命は完全無視かよ。

全くよ。


「おい。何を買うんだ?一歩」


「お友達の誕生日プレゼントを選ぶから。アンタも来て」


「何だよそれ?俺、要らなくね?お前、センス良いんだからよ」


「何か言った?お義父さんにエロ本をバラすよ」


何だよこれ?マジで最低極まりない。

俺の優ちゃん(グラビアアイドル)をこの様な脅しに使うなんて。

可愛い、可愛い俺の優ちゃんを!

絶対に許さん。

思っていると、一歩が頬を膨らませて俺を見ていた。


「?」


「.....その、胸の大きい女の子が良いの?」


「そりゃそうだろ。男は巨峰の様な女性の胸に憧れるね」


「.....ふ、ふーん!別にどうでも良いけど!ふーん!!」


何だよコイツよ。

つーか、俺も何回何だよを使うんだよ。

面倒臭いなと俺は思いながら考えつつ、やっぱコイツ、俺の事が好きなのか?とも俺は思った。

取り敢えずはこの付き合いの恨みで試してみるか?


「実はな一歩。俺、好きな女性が居るんだ」


「は、はぁ!?は.....あ?」


俺は突然、真剣な顔になり俺は呟く。

一歩は超、超、超、動揺し出しそれからショックを受けた様な顔をして、悲しげな感じを見せた。

嘘でしょ、と言う感じの反応。

俺はニヤッと少しだけ笑みながら、話す。


「それでな、お前に今度、彼女を紹介するから」


「.....ふ、ふーん!別にお兄ちゃんにそんな.....あ」


「ん?お兄ちゃん.....?」


予想外の言葉に俺は目をパチクリする。

一歩はボッと赤面して、一歩は俺を思いっきりに突き飛ばした。

人混みによろけてから俺は一歩に向く。


「ちょ、なんてことするんだ!」


「アンタが悪い!ぜーんぶ!!ぜーんぶアンタがね!」


風で凪ぐ髪を抑えながら、一歩は話す。

頬を膨らませて横にプイっと向いた。

こりゃ、確定だ。

コイツ盛大なブラコンだな多分。

俺はその様に思いながら、フッと笑んだ。


「えっと、お前、お兄ちゃんが好きなの?」


「.....ハァ!?何度も言うけど、そ、そんな事ないし!!」


「えっとな、俺に彼女が居るってのは完全な嘘だ。お前がどういう反応を見せるか試したんだわ」


「あ、あ、あ、アンタ!私を騙したの!?」


うん、いや、でもお前が悪いだろ。

俺はその様に思いながら、ニヤニヤしつつ一歩を見る。

一歩はプルプル震えながら、キッと睨んできた。

そして、グーを作っている。

え?嘘だろコイツ。


「.....おま.....死ぬからな?それやったら.....」


「バカァ!!!!!」


まさかのパンチ。

ドゲシッと音が鳴って俺は背後に吹っ飛ばされた。

そして地面に落ちて、グヘッと声を出す。

なんて日だ!



「いや、悪かったけど、半ばお前が悪いだろ!俺をこき使うからこんな事になるんだろうが?」


「ハァァ?何意味の分からないこと言ってんの?何で私の所為なのよ」


その様な感じでいがみ合いながら歩いていると目的の小さな、本当に小規模なショッピングモールに着いた。

俺は取り敢えず、看板を見上げる。

うむ、相変わらずの看板のデカさだな。

看板だけは。


「さっさと済ませて帰る。アンタも来て」


「うん?お兄ちゃんでも良いんだぞ」


「ハァ?殺すぞ」


「すいませんでした」


そんな真剣な顔で殺すとか言うなジョークだよ。

やっぱり顔が怖いと言えば怖いなコイツ。

可愛いんだけどよ。

まさに鬼の如しだな。


「あのさ、なんか失礼な事を考えてない?アンタ」


「お前は心も見透かせるのかよ.....」


「.....ハァ?.....まぁ良いわ。とにかく!行くわよ」


へいへいと答えながら歩く、俺。

ショッピングセンターに入って行く。

面倒臭い義妹だな、本当によ。



「.....わー!可愛い.....」


「ここペットショップじゃねーか。全然、関係無くね?」


「うっさいなぁ.....優だっけ?嫌われるよ。和幸」


目の前に、ミニピン、シュナウザー、トイプードルがいる。

そんなガラスの向こうのミニピン、シュナウザー、トイプードルに目を輝かせる、一歩、って言うか眠いんだけど。

その様に思いながら、顎に手を添えて居ると。

目の前に一歩が立っていた。

な、何だよ。


「.....あのさ、和幸。アンタ、私に彼氏が出来たら.....どうする?」


「あ?そりゃ俺は本当に喜んで引き渡すよ」


「.....」


ジョーク交じりに言ったつもりだったが。

真面目にショックを受けている様に見える。

いやいや、と俺は慌てて否定する。


「じょ、冗談だって.....」


「.....でも、確かに納得する面も有るよ。私、嫌な事ばかりしてきたよね.....和幸に」


そして、ごめんね、と言いながら一歩は歩き出す。

え?と俺は思った。

その、一歩がこっちを見てくる。

優しげに笑んだ。


「.....行こうか。和幸」


「.....」


何なんだ気が狂うな。

俺はその様に思いながら、溜息を吐いた。

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