第4話万能メイドは天才児


俺達はドラゴンから逃げている真っ最中だ。なんでドラゴンから追われているかと言うと、まぁあれだ、俺の不注意だ。


「亮一君のバカ!あほ!まぬけ!なんでドラゴンがいる方に歩くのよ〜」


「すいません。今度からはユナの指示があるまで危険なところは行きませんのでどうか許してください。」


てか、万能メイドとか言ってるんだから魔法とか使えないわけ?アモリスクって魔法ないの?視界が暗くてどう進めばいいかわかんないんですけど。


「ユナは魔法とかは使えないのか?」


「は?バカにしないでよね!私はこれでも女学校トップの成績だったんだから、上級魔法の一つや二つ習得してるに決まってるじゃん。」


おいおいおい、ユナって万能なのか頭が悪いのか分からないんだけど。なんで今魔法使わないの?初級魔法にここから抜け出す魔法とか、この辺を明るくする魔法とかあんだろ...


「なんで魔法を使わないんだ?この状況下で使える魔法がないのか?」


「は?使えるに決まってるじゃん。ホントに怒るよ」


「じゃあ使えよ!」


「あ...」


ユナは立ち止まったのだろうか、ユナと俺はぶつかった。


「いてて...なんで立ち止まったんだよ...」


「ごめんね。完全に魔法が使えるのを忘れてた。」


「そうか。取り敢えずここの明るさをあげてくれ。それからこの洞窟から抜け出す魔法とかってあるか?」


「分かった。洞窟から抜け出す魔法はないけど、テレポート系の魔法は使える!」


なんだよ、ユナさん。凄い万能じゃないですか。俺は感心したよ...


『リヒット・ルミエール────』


一気に明るくなったな。これでちょっとは動きやすくなったな...


「ありがとう、ユナ」


「いいえお役に立てて良かったですっ!」


俺は後ろにいるであろうドラゴンの方を見た。ドラゴンはあまり外には出ないのだろうか。目を手で隠しているようだ。確かにこんな暗い所に住んでいたら、明るすぎて目が死ぬな。俺も死にかけたもん。


「じゃあテレポートも頼む」


「それなんだけど...アモリスクの位置情報が3次元で見たことがないから、ここから最も近い教会に着いちゃうんだけど、それでもいい?」


あれだな。言ったことない街には正確に行くことが難しい、もしくは行けないんだな。でも、今の状況ならどこに飛んだって構わん。


「ああ、そうしてくれ。そこからイニシオンに行こう」


「分かりました...」


『ヴァンムーヴ────』


次の瞬間、俺は地面から足が浮いているのを感じた。スゲェ...魔法だ!興奮が止まらねぇよ、かぁちゃん!





どうやらテレポートは成功したみたいだな...でもここはどこなんだろうか。


「ユナ、ここはどこか分かるか?」


「ア、アグルコスです...」


あぁ、農業が盛んな所か。まあ、そこでゆっくりしてからイニシオンに行けばいいか。


「宿でも探すか。」




俺達は街の中をとぼとぼと歩き始めた。

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