第3話万能メイドは問題児

「ユナ...本当にこの道であってるんだよなぁ?今なら怒らないから正直に言いなさい。迷ったよね?」


ユナはなんで分かったの!?とでも言いそうな顔で俺の顔を覗いた。


「あ、あははー...おかしいなぁ。なんか迷っちゃったみたいだなー。万能メイドの私に狂いはないはずなのになぁ、あははー」


「何があははー、だよ!お前が調子こいてスキップなんかするから変な穴に落ちんだろうが。これじゃあ一生洞窟から出れねぇじゃねぇかよ」


「亮一君の嘘つき〜。怒らないって言ったじゃん!嘘つき!のろま!あほ!ばか!」


外への出方が分からないのにどうやってこの洞窟から出るんだよ。無理に等しいだろ。真っ暗だし。


「俺から見てここは真っ暗だけどユナはどんな感じで見えるんだ?ユリスが作った万能メイドなんだから多少は余分機能あるでしょ」


「バッチリってほどではないけど、結構見えるよ」


そうなのか。ユナだけでも周りが見えているのは正直いってこの状況下では結構デカい。ホント助かるわ、万能メイド。まあ、この状況作り出したのはユナなんだけどな。


「じゃあここから上に行けそうな坂や通路は見えるか?」


「うん。右に1本細い通路があって左斜め後ろに坂があるよ」


上に行くには坂の方が楽そうだけど、実際の構造がわかんないからここはユナだのみだな。


「どっちの方が上に行けそうかわかるか?」


「ごめんね。私ここの情報は持ってないんだわ。ほんとにごめん」


マジかよ。じゃあ二択の中から決めるしかないな。こういう博打みたいなやつ俺超弱いんですけど...絶対と言っていいほど外すんですけど。でも、逆の逆は表だから俺が思った方の逆を選べば正解なんじゃね...俺天才だわ。やっぱり坂の方が上に行けそうだから、その逆の細い通路か。


「俺は通路の方に行こうと思うんだけど、どうかな」


「いいと思うけど、通れるかな...」


「頑張れば行けるやろ」


そうして俺達は細い通路の方へと歩き始めた。







細い通路は本当に細く幅は体感50センチくらいしか無かった。いや、細過ぎでしょ。ユナなんておっp...もとい、胸部が膨らんでいるから俺よりも大変だろうな...


ユナはよいしょ、よいしょと言いながら歩いてた。時々


「あ...」「ん...」


とか言っててエロいと思った、俺をブルドーザーで轢き殺したい。いや、だってさ俺の好きなヒロインの声で言われるんだから暗いところでは完全に香澄ちゃんが言ってると錯覚するだろ?そういう事だ。







「やっと広い所に着いたよ!」


ユナのその言葉で俺はとても安心した。俺の息子が壁に当たり続けて痛かったからな。いや、いと安心。


「ここからはどうやったら抜け出せそうだ?」


「ここから200メートルくらい歩いた所に分かれ道があるよ」


「そうか、ありがとう。分かれ道はどの道を選べばいいんだ?」


「好きなところに進む!」


超テキトーじゃん...万能メイド(笑)と会話をしながらとぼとぼ歩いてると分かれ道についたようだ。ユナが知らせてくれた。


「3つの道があるけどどこにする?亮一君」


「じゃあ真ん中で」


ぶっちゃけもうわかんないところまで来てるから、フィーリングしか頼りにならん。


「オーケーです」


ユナは愉快そうに返事をした。







「亮一君ヤバい...」


ユナがヒソヒソと話しかけてきた。


何がやばいんだよ。おしっこか?そこら辺でしろよ。俺見えてないんだし...


「どうしたんだ?」


ユナが喉を鳴らして答えた。


「ドラゴン...」


「あ?」


訳分からん。ドラゴンってなに?フルーツ?


「ドラゴンがいる...」


俺の袖が何かに引っかかったのを感じた。多分ユナの手だ。ユナは相当怖がっているのだろうか。口数が少ない。


「どのくらいの大きさだ?」


「7mぐらい...」


「起きてるのか?寝てるのか?」


「寝てる」


じゃあそーっと気付かれないように通るか。


そう思い足を踏み出すと、足裏にふにゃっとした違和感を感じた。もしかして...ドラゴンフンジャッタ?ネコじゃなくてドラゴン踏んじゃったんだけど。どういうメロディーを奏でればいいの?教えて、ユナペディアっ!


「やばばばば...」


ユナが完全にバグったようだ。ほんとにごめんなさい。本当にドラゴン踏んじゃったみたいだね。


「何してんの亮一君〜!逃げるよ────」




『ぎぇぇぇええぇえぇぇぇえぇえ』




いや待って、俺の想像したドラゴンの鳴き方じゃないんだけど...そんなことを思いながらドラゴンがいる方向の反対側へ走り始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る