第20話~残された騎士~
ワタルの独り言を聞いて、とりあえずサクラの部屋のベッドで休ませてもらうことにした。同じ部屋にいないと不安で仕方なかった。
疲れていたのかぐっすり眠ることが出来た。朝、俺が起きても、サクラが目を覚ますなんてことはなかった。ちょっと期待してたのにな…。
「サクラ、おはよう。」
いつもなら元気よく挨拶するのに、今は寝たまま。でも、昨日より顔色がいい気がする。
「失礼しました。」
本部長といろいろ話した。しばらく非番のこと、サクラが目を覚ました後のこと、ベスト王国のこと…。
話が終わると、ちょうどお昼のチャイムが鳴った。食堂に行くとカエデとアスカもいた。
「アスカ、カエデ。」
「フウ!!」
「大丈夫?」
声をかけると二人は心配そうに言った。手にはおにぎりやパンが両手いっぱいに抱えられてる。
「それ、二人で食べる気?」
「なわけあるか!お前らに持っていこうとしてたんだよ。」
「そうよ。心配かけて…。」
そう言って二人は笑った。少し表情は暗いけど…。
「その、昨日は、ごめん。最悪なことばっか言って…。」
「いや、俺も悪かった…。」
そう言いあうと、なんだか照れくさくて、笑ってしまった。
「さて、じゃあ、サクラの部屋で昼飯、食べようぜ!」
「そうね。ほら、フウも行くよ。」
「うん、ありがとう。」
そう言って俺たちはサクラの部屋に行った。
お昼を食べ終わると、二人は行くところがあるとかで出て行ってしまった。
サクラと二人きり。
「サクラ、いつ起きてくれるの?」
その答えは、返ってくることはない。おとぎ話とかだとキスすると目が覚めるとかあるけど、そんな奇跡に頼りたくない。
「サクラ…。」
俺は、結局何も出来なかった。
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