第8話~儀式~

「じゃあ、始めるよ。」

 フウくんの言葉にみんなが頷く。いよいよ始まるんだ。

「サクラ、魔法陣の真ん中に。」

「うん。」

 私たちが着替えてる間に作ってくれた魔法陣の中に行く。そして、他の三人が私を中心に三方向に立つ。形は、これで完成。

 あとは―

「我ら、三つの鍵。ここに集まらん。」

 カエデがそう言うと、魔法陣は光を放った。頭の中に言葉が流れてくる。

「我が名はサクラ・フルール。前世の記憶を求めし者なり。」

 流れてきた言葉は自然と口を伝って外へ出てくる。きっと、これが必要な術式。

「我は前世のかけし記憶の鍵を今一度開けるため、三人の鍵を集めた。」

 そう、私は記憶を取り戻すために皆に出会った。

「ある者は危機から護り」

 頭の中に流れるのは、フウくんと出会ったあの日の光景。

「ある者は安らぎを与え」

 次はアスカちゃんの頼もしくも優しい笑顔。

「ある者は、自身の危険を顧みず、我を救ってくれた。」

 最後は、カエデと初めて話せたあの日。檻越しに見た、カエデの力強い瞳。

 そうか、これは全部私たちへの試練だったんだ。そして、乗り越えたから、ここへ来れたんだ。

「我はここに、強き意志を示す!古き我が記憶よ、我の意志に応え、封印を打ち破れ!!」

 その瞬間、魔法陣は強い光を放って―

 それを最後に、私の意識は途絶えた。

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