第5話~予感~

 話が終わって、今日は5艦に泊まることになった。当たり前だ。あそこにはもう、戻れない。そんなの、誰だって分かるはずだ。

「おい、ちょっといいか?」

 部屋に戻るなり扉を叩かれる。断る理由もないからその戸を開けるとバド・ケッタがいた。

「話がある。」

「入って話そう」

 俺がそう言うとバドは驚いたように「いいのか?」と言った。彼の魔法制御装置は外されている。警戒しない方がおかしいと思ったんだろう。ただ…

「俺たちはもう仲間だろ?仲間を疑うようなことはしたくないんだ。」

「そうかよ。」

 俺がそう言うと、バドは少し笑った。そんなやつを部屋に入れる。

「で、話って?」

 お互い椅子に座ったところで話を促すと、バドは真剣な顔をした。

「この前会った時、お前の親について調べたって言ったろ?」

「ああ、言ってたな。」

「あれから、また調べてみたんだよ。」

 そう言われて息をのむ。まさか、調べられるとは…。

「そしたらなんか、君が思ってる以上にご両親はマズいことになってたよ。」

「マズいこと?」

「殺されたみたいだ。しかも、君が保護された直後に。」

 信じられない。もう、殺されてる?

「どうして…。」

「そこまでは、分からないが…。お前の両親、昔大きな研究をしていたそうだ。そして、完成目前でその研究所が襲撃された。しかも、襲撃犯は三波西呉かもしれないんだ。まだ、確定ではないが…。」

「な、なんで、そうなるんだよ…。」

 俺がそう言うとバドは「う~ん」と首を掻いてから言った。

「いや、今回の事件とお前の両親の事件、なんか関係がある気がするのと、この事件に違和感があってな…。」

「違和感?」

 正直両親の事より違和感のほうが気になった。

「言い伝え通りなんだよ、これまでの展開が。昔の、姫が姿を消した戦いと、全く同じ。普通じゃないだろ!?」

「確かに…。おかしいな…。」

「俺は、あの頃をよく知る人物が手を引いてると考えてる。」

「それって…!」

 まさか…。

 俺がそう言うとバドは頷いた。

「この事件、黒幕が出てこない限り、三波西呉を止められない。」

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