⑦ギンギツネ
炎上
『久しぶり、姉貴。誕生日おめでとう。
俺は元気だぜ。そう言えば、最近手伝いが欲しいって言ってただろ。俺からの誕生日プレゼントだ。追伸:言う事聞かなかったり、頭に来る事あったら躾をしないとダメだ』
その様な内容の手紙と共に送られてきたのは“ギンギツネ”というフレンズだった。
「ここはどこ...」
「怖がらなくていいよ。
お姉さんが優しくお世話してあげるからね...」
「ゲホッ...ゲホッ...」
顔中アザだらけ。右目の瞼が腫れ上がっている。
「アンタが働かないからだよクソギツネ。
さっさと料理作りなよ」
「...は、はい...」
慣れない包丁、炎をぎこちなく使う。
手など傷だらけにしながら。
「クソまずい...、アンタ本当に何も出来ないのね」
「...すみません」
跪き、両手を軽く握り俯いた。
「こっち来な」
彼女の腕を持ち、車に乗せた。
乗用車で十数分。辿り着いたのは人気のない公園だった。
彼女の他に2人の男がいる。
怪しく、笑っていた。
訳のわからないギンギツネは困惑した。
無理矢理連れて行かれ...
「オラッ!」
「あぐっぁぁぁぁ...あぁ....」
挨拶代わりの腹蹴り。
それから、柔らかな素材で出来たバッドで
バシッ!
「いたぁぁぁ...、いたぃ...」
「うるさい、黙ってろ」
女はそう言うと、マッチを擦りギンギツネの尻尾に火をつけた。
「熱い!熱いよぉ!熱いぃぃ...!!」
泣きじゃくりながらのたうち回る。
すると1人の男がポリタンクを取り出し
液体をギンギツネに浴びせた。
その瞬間、火の手が一気に激しくなり、
一瞬で火だるまになった。
「いやあああああああっ!!!!!!
熱い熱い熱い熱い!!!!!!!!
あ゛つ゛い゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ ぉ....」
彼女の慟哭も、炎に包まれて行った。
「すごいね、キャンプファイヤーじゃん」
女はクスッと笑った。
「キタキツネも良かったけどこのキツネも最高だな」
「でも兄貴、コイツどうする」
「川にでも流しときゃいいでしょ」
弟の問に姉が答えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます