④フェネック
オンラインハラスメント
「んっ...」
部屋の中に監禁されている。
両手を吊し上げられ、
テープで口を塞がれ、助けを呼ぶ事は出来ない。
私の目の前には、パソコンがある。
パークで飼育員が使っていたのを見た事がある。
男はずっと、パソコンとスマホ、
交互に見ている。
「安価でFNKちゃんを弄ぶスレ...っと」
私は砂漠で誰かに誘拐された。
気が付いたらここにいたのだ。
そして彼は私をこの様な状況に置いた。
「弟が10万振り込んでくれてよかったよ...、全く」
独り言を呟く。
「8万円の所クーポンで7万円...
我ながら良い買い物したなぁ...!
フェネックは人気高いから、注文入りにくいし...。これは丁重に遊んであげないと」
普段自分は泣くような性格じゃない。
なんでも1人でやろうとしてきた。
だけど...、だけど...。
“誰か助けて”
深夜0時過ぎ、男は缶チューハイを飲みながら、パソコンを操作する。
「どれどれ...?」
地獄の時間が始まろうとしていた。
ーーーーーーーー
5:名無しフレンズ
とりまガムテ外し、服脱がせてから
腹とかで良くね?
6:名無しフレンズ
>>5 実行する。じゃ、次は13で
ーーーーーーーー
男はガムテープを外し、彼女の服を乱雑に脱がした。この男にとってフレンズは消耗品でしかない。
「はぁっ...、やめてよっ...!」
「うるせえ黙れ」
「んグッ?!」
強烈な蹴りが腹に喰らわせられる。
「はあぁぁぁ...、ふうぅぅぅ...」
呼吸を大きくし、痛みを紛らわせるが
寺の鐘をついた時の余韻の様なジワジワと責め立てる痛みは全くひかない。
「...っ...はぁ...」
しかし、男はそんなフェネックの対応が気に入らなかった。
「おいもっと泣けよオラッ!」
下腹部を必要以上に何度も何度も、強く蹴り続ける。
「いっ...、ハァッ...」
中にある何かの臓器が悲鳴を上げるが、
極力顔に出さないよう必死に堪える。
ここで泣き叫べば男の思うツボ。
プライドの高さが、フェネックの感情を
押し殺していた。
「チッ...」
舌打ちをして、睨みつける。
(コイツ中々やりがいがあるじゃねえか)
再び男は掲示板を見た。
ーーーーーーーー
13:名無しフレンズ
火でやっちゃいます?やっちゃいましょうよ!その為の...、右手?
14:名無しフレンズ
>>13 おかのした 次は22
ーーーーーーーー
男はロウソクを取り出し、火をつけ、
フェネックに垂らす。
火への恐怖心くらいは我慢できるが、
熱いのが苦痛だ。
気温的な暑さではないので、尚更である。
「あっ...」
素肌に直接。“熱い”と言ってしまいそうになる。
だが、この男の喜ぶ顔は見たくない。
我慢比べに入る。
ポタポタと滴れる蝋。
(熱い...)
心の中で口にするだけに留める。
「...」
(...面白え)
ーーーーーーーー
20:名無しフレンズ
ずっと堪えてる感じだわ。
メンタル強すぎ
22:名無しフレンズ
>>20
それなら根性やったら?
面白くなりそう
23:名無しフレンズ
>>22
なるほど
じゃ、お次は30で
ーーーーーーーー
煙草に火をつけ、直に肌に押し付ける。
しかもこの男は彼女を泣かせるが為に
胸に押し付けた。
「...あぁっ...ぁぁ...っぃ...」
泣いちゃダメだ。泣いちゃダメだ。
自分に何度もいい聞かせるが、薄らと目が潤んで来ていた。
歯を食いしばり、必死に耐えぬこうとする。頑なに白状しない罪人の様に。
煙草の火は胸に数ヶ所押し当てられた。
焦げた痕が醜いが、命あるだけまだマシだと思った。
「...ハァッ...ハァ...」
ーーーーーーーー
30:名無しフレンズ
あそこにデスソース
31:名無しフレンズ
>>30
うわwwwwマジかよwwwド鬼畜wwwww
じゃあ39ねwwww
ーーーーーーーー
男は一旦退出して数分で戻ってきた。
理科の実験でも行うかの様な装備だった。
3重のゴム手袋、ゴーグル、マスク。
手にはドクロの絵が書いてある小さなボトル。
手にソースを何滴か垂らした。
そして、彼女に近付き、
擦り込むように...。
「ああっ!!ああぁぁっ...!!!!」
可愛らしい顔が苦しい顔を浮かべる。
「ああぁぁぁぁぁぁ...!ん゙ぁ゙っ゙!!」
自分の下半身が燃え盛っている様だった。
この何とも形容し難い痛さは堪えきれずにはいられなかった。
「ハハッ...ハハハッ...」
男の笑い声が聞こえる。
「うっ...ぁっ...」
とても傷ついた。悔し涙と、悲痛の涙が
混ざり合って。
ーーーーーーーー
39:名無しフレンズ
動物虐待して何が面白いんですか?
このスレを見て気分が悪くなりました。
人として狂ってると思います。
フェネックちゃんが可哀想です。
耳を切断してください。
40:名無しフレンズ
>>39
どうもすみませんでした。
耳切断するので許してください。
生きてたら45
ーーーーーーーー
男は手品師の様に色々な道具を取り出す。
そして、男は園芸用の鎌を持ってきた。
まだ下半身の痛みが抜けきらない彼女に
更なる苦痛が重なる。
男は耳を掴むと...。
「うあああああああああっ!!!!!!」
「ああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゙ッ゙!!!!!!」
少女の声とは思えない慟哭。
半狂乱状態になり拘束された体をのたうちまわす。活きの良い鮮魚のように。
それは、痛いを通り越した感覚。
男はそんな彼女に切断した大きな耳を見せつける。
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!
いやあああああっ!!!!!
みみいいいいぃぃぃ...!!!!!!」
泣きじゃくりながら叫ぶ。
男にとっては愉快で愉快で。
とても愉快だった。
「あぁぁぁぁぁぁっ...ううっ...ああああ...」
切られた時の血でクリーム色の髪の毛が
朱に染まった。
ーーーーーーーー
44:名無しフレンズ
めっちゃ良い騒ぎっぷりwwwww
耳なしフェネックwwww
でもフツーに人間みたいで可愛いwww
45:名無しフレンズ
感電風呂入れちゃっていいんじゃない?
46:名無しフレンズ
>>45
れっつwwww入浴ターイムwwww
多分もう死ぬだろwww
ーーーーーーーー
拘束は解かれたが風呂場に連れて行かれる。
全身痛くて訳が分からない。
「いやあああああっ!!!!!!」
冷たい水。
頭の傷口がとてつもなくしみる。
これでもかと言うくらい、男はシャワーを
掛けた。
「ああっ!!!!!!ああああっ!!!」
男は区切りのいい所で、機械を湯船に入れた。そして、スイッチを入れた。
バチッ、という音と共にフェネックの身体が一瞬浮き上がった。
手足を小刻みに痙攣させる。
男は直ぐに浴槽に蓋をした。
もう死んだはずだ。一度寝てから、彼女の死体を処理しよう。
そう思って浴槽を後去った。
暗い蓋を開け、なんとか外に出た。
下半身が麻痺したように上手く歩けない。身体を硬いところに打ち付けながら、
ほふく前進に近い形で風呂場を抜け出した。
時間を掛けてキッチンに辿り着くと、
棚を開け、扉の内側にあった包丁を抜き出した。
「はぁっ...はぁ...はぁ...」
しっかりと握りしめ、リビングに向かう。
(殺してやる...、あいつを...、殺すんだ...)
男は酔い潰れ、ソファーで寝ていた。
テーブルを超えた先にあるソファー
しかし。
「うっ...はぁ...はぁ...」
ダメだ。眠気が襲う。
脱出に力を使い果たしてしまったためかもしれない。
どうすれば。
この男の手によって死ぬのは、フェネックとしても嫌だった。
「ハァー...」
どうせ、もう少しで死ぬんだったら。
「...っ」
この男の手によってではなく、
自ら命を立とう。
体位を変え、天井に腹を向ける。
そして、胸の位置を確かめながら、そっと
両手で包丁を上げた。
「...もっと...、パークで遊びたかったなー...」
辞世の句を呟いた。
生まれ変わったら、またフェネックになって友達を作り、冒険したい。
(アイツを...絶対に許さない...、呪ってやる...)
と決心した。
ウトウトし始める。
(ここまで...かぁ...)
せめて最期は、安らかに眠る可憐な少女に
なろう。
グサッ
包丁を深く胸に突き刺し、
フェネックは安らかに眠った。
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