第4話
保健医に怒られて保健室を後にし、私達は校門で別れた。
…なんだか久し振りに、人とたくさん話した様に思う。
「いや、もう少し喋ろうよ、自分…」
それからは暫く、夢を見たり、見なかったりする日々が続いた。夢の中の彼女達は日々すくすくと(なんか変だな…)成長しており、その一つで、あの時対峙していた狼似の獣と、また遭遇した。…けれど、今度は剣や魔法を使ってその獣を倒してしまった。
…強くなったなぁ。あの二人。
そうしてだんだんと成長していくと、二人はどこか見覚えがある様な顔になっていった。…だれだろう?とても、身近な人の様な気がするんだけど…。
それに、何故か…懐かしい感じもする。
「何ぼーっとしてんの?」
「わ!」
いきなり町田くんに声を掛けられてびっくりした。…そうだ、登校中だったんだった。
「…町田くんて…家、こっちだったの?」
「ああ。鳴上もこっちだったんだな。なんで今まで気付かなかったんだろ?」
「多分。時間がズレてたんじゃない?私、部活入ってないし」
寝不足だったあの日、助けて貰ってから私は町田くんとも話をする様になった。…助けて貰ったのに無視するなんて、流石にね…。
「今日はちゃんと寝て来たのか?」
町田くんが顔を合わせずに聞いてくる。あれ以来、時々聞かれている。
「寝て来たよ。町田くんて、案外心配性よね」
「………」
黙ってしまったのは、きっと照れ隠しなんだろうな。
…そう言えば。
似てるかもしれない、と前に思ったことがあったっけ。
夢の中のあの少年に、彼は。
「…………鳴上?」
「あ、ううん。何でもない」
…やっぱり、似てるかも。
そんな風に何となく日々が過ぎて、六月も終わりを迎えようという頃。
私は、思い出した様に降ってきた雨にやられ、体調を崩してしまった。
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