秘密のお話
時計の針は7:00分を指す。
私は、一足早く家に来ていた雪乃に提案する
「…雪乃、お兄ちゃん起こしてこようか?このままじゃ約束の時間過ぎちゃうよ。」
しかし、そう言われた雪乃は笑顔で
「うーん…大丈夫だよ。これから少しずつ忙しくなっていくだろうし、休める時にしっかり休まないとね!」
「そっか」
そうして少しの沈黙が流れる。
「私ね、青葉高校に行こうって思ってるの。先に千尋ちゃんには言っておくね。」
沈黙を破る雪乃の言葉は衝撃だった
「えっ、雪乃も青葉高校に?でも雪乃、色んな所から特待の話来てるんじゃないの?」
私は、口ではそういうけど内心では少し勘付いていた。
「うん…そうだね。ありがたい事に色んな所から話は頂いたよ。でもね、私は自分の気持ちに嘘はつきたく無いの。」
そして雪乃の言葉で確信に変わった。
「…お兄ちゃんと…走りたい、一緒に居たいんだよね。」
雪乃のは、さっきの笑顔とは違う少し頬を赤らめた笑顔で
「うん、そうだね。一緒に居たい、少し不純かもしれないけど、それが本心だから。」
「…好きなんだお兄ちゃんが。」
あっ!っと私は口を塞ぐ。無意識に口を開いてた。
私は、そーっと雪乃の顔を見る。
そこには、さっきとは比べものにならない位に、顔全体をマグマのように真っ赤に染めた雪乃がいた。
なぁにそれーーー!!何なのその反応!?子供か!…いやまぁ、子供だけれどもう高校生になるんだよ。それなのになにその反応!!
「い、いつから気付いてたの?」
雪乃は、その真っ赤に染まった顔を隠すように俯きながら聞いてきた
「いつからっていうか…普段の雪乃を見て気づかない方がおかしいっていうか」
「なんかもっと恥ずかしくなってきた…」
少し間を置いて落ち着いた後、決心したように雪乃は口を開く
「…ちゃんとケジメはつけるつもりだよ。」
雪乃にとっての《ケジメ》とは、告白の事なのだろう。
「恨みっこなしだよっ千尋ちゃん!」
「???何でそこで私?」
「言っとくけど、千尋ちゃんも結構バレバレだったよ〜」
そう言いながら、イタズラっぽく微笑む
「べっ別にそんな風にお兄ちゃんの事なんかどうとも思ってないから」
「へ〜そ〜なんだ〜普段は冷たく接してるけど、内心秀太の事大好きなくせに〜もっと秀太の前で素直になりなよっ!」
さっきの仕返しだと言わんばかりに、雪乃は畳み掛けてくる。
私も負けじと言い返す
「雪乃だって、雪乃が思ってる以上にバレバレだったんだからね!」
まぁ、それでも恋愛対象としての"好き"と気付いてる人はあんまりいないと思うけど。
そんな事を言いあっていると、ピピッピピッピピッと二階からアラームが鳴る音が響き渡る。
その音を聞き私達は、ふと冷静になる。
「お兄ちゃんアラームいつもと同じ時間じゃん。あれだけ張り切ってたのに。」
それを聞きふふっと笑い声が聞こえる
「なんか秀太らしいや。よし!今回は少しのお説教だけにとどめてあげよう。」
その後のことは雪乃に任せ、私はお兄ちゃんを一目見た後直ぐに家を出た。
一瞬雪乃から言われた言葉が頭をよぎる
「"もっと素直に"っか」
いつからだろう、素直にお兄ちゃんに甘えられなくなったのは。
いつもよりも少し遅めに家を出てしまった為、少し駆け足で学校へ向かっていると
「千尋ちゃんおはよー!!」
「えっ!あ、おはよーすみれ」
門倉すみれ
私の幼稚園の頃からの親友で、数少ない心から悩みを相談出来る子である。誰にでも分け隔てなく接する事ができ、心情を察することが出来る本当に同い年かと思うほどできた子だ。
私は、その慣れ親しんだ声に少し足を止めいつものように学校へ向かう。
「あれ?千尋ちゃん今、何か悩んでることある?」
げっ!鋭い!
「えっ?なんでわかったの?」
「そりゃわかるよ!私たち何年一緒にいると思ってるの?さぁ!すみれお姉さんさんに言ってみなさい!まぁ、どうせ秀太お兄ちゃんのことだろうけど。」
「うーん秘密!これは自分で解決しなきゃいけない事だから」
「そっかー頑張ってね千尋!私はいつでも千尋の味方だから!」
「ありがとうすみれ。よしっ!時間もヤバイし、いそご!」
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