進路

最後の全国大会が終わったあと、僕は様々なメディアで取り上げられた。

やはり長い間破られなかった中学生記録を更新するといことは、かなりのインパクトとだったのではないかと思う。

さらに全国津々浦々な学校から「特待生として来ないか?」とい誘いも沢山頂いたが、


「やっぱり地元がいいなぁ」


と心の中で感じていた。






放課後、僕は部活も引退し、これといってやる事もないので、校門を出て帰ろうとした時


「おーい秀太ぁー」


僕はすぐに声の正体にすぐに気づき

「どうしたの?雪乃」


「途中まで一緒に帰ろ!」


福島雪乃。

僕の家と雪乃の家の家族は、小さい時から家族ぐるみの付き合いで家も約100メートル程しか離れていない。

僕が陸上を始めた理由も雪乃が小学校の時から陸上を始め、すぐに頭角を現わし、たった一年で全国大会に出場したところをみて憧れたというのが理由だ。

そして現在でも、全国トップレベルのスプリンターでもある。

しかし、その実力に加え、その整った顔付きもあいまって陸上競技ファンに関わらず絶大な人気を集めている。


(僕一度もサイン下さいなんて言われた事ないのに泣)


「秀太さ、青葉高校いくんだよね?」


「そうだねそのつもりだよ…雪乃はもう決めた?」


「うーんまだ迷ってるかなぁ」


雑誌などでは、優勝最有力候補として取り上げてられていたが、今までの無理も相まってか大会直前に高熱を出してしまい決定していた全国大会には、出場出来なかったがやはり、高校からの評価は誰よりも高いようだ。

さらに、勉強でも校内のテストの点数では常に学年TOP3に名を連ねている。まさに文武両道を体現しているのだ。

なので僕より進路の幅が広いので悩んでいるのだろう。


すると雪乃は突然

「あのね、もしもだよもしも私が青葉高校に行くっていたらどう思う?」


「えっホントに?そうなったら、また雪乃と一緒に練習できるってことじゃん。めちゃくちゃ楽しそう!!」


雪乃は何故か少し俯き

「だから、もしものはなしだって言ってんじゃん…もぅ」


「だけど雪乃ならもっといいところいけるんじゃない?」


「……秀太のバカ」


「?」(何故)


その後、お互いのクラスでの出来事やなどを話ているうちに、もう家が目と鼻の先にあるくらいの距離まできていた。


「じゃあ雪乃、また明日」


「うん!久しぶりに一緒に帰れて楽しかったよ!」


雪乃は少し間を空けて

「私は、まだ秀太とたくさん走りたいって思ってるから。」


僕は微笑みながら

「僕もそう思ってる。」

そう聞いて雪乃も僕に微笑み返えした。







「ただいまー」


「あら、秀太おかえりなさい」


「うん、母さんただいま!」

母さんがまたキッチンに向かおうとすると、何か思い出したような表情になり、

「そういえば伊藤さんから電話きてたわよ」


「えぇーーーーー!?」


「なによ、うるさいわね」








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