ペトリコール

玄関の扉を開け、鼻先で湿気の匂いを感じ取った

霧を吸い込めたら、こんな感じだろうか、とか

昔、病院にて吸引器をつけた時とか

とにかく詰まるような、そう経ち込めた空気を凝縮した感じだ

それは決まって雨のあと

夜半に降って朝焼けに終わり、地面を濡らして太陽で乾かす

一年の中で度々あることであるので反論はなくとも反感はある

これを良いという人も居れば、気が滅入るという人も居る

どちらかというと「やれやれ」である

朝のスタートには、やや遅れた感じがするけれども

いつだって雨は自由気ままに降って滲んで消えていく

きっと一日の終わりには地面は乾いているだろう

その頃の空気はどうだろうか

正午の爽涼感か夕空の侘びさか

ともあれ、今は朝なので鬱々とした気分で玄関を出た

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