雨の目

よく漫画にある「血の雨」というのはどういうのだろうか

重力があるのだから余程の事が起こらない限り見れないだろう

投身自殺でさえ床に広がるだけなのだから

誰かが天上より降らせてくれるしか方法はないだろう

ふと、天井を見た

青空の天上が駄目なら天井があるじゃないか

嬉々として天井を空色にする。引き延ばしたフィルムを隅から隅へと張り付ける

次の日に適当に選び、運び易い「これ」を屋根裏に放置した

そうして一突き

染み易い木板だし、と油断していたら一向に振らなかった

どうしたものかと思って

はた、と気づいた

カッターを持って天井の溝を切る

「それ」を置いた辺りを、つう、と切る

ぱしゃん、と解放された液体が顔に身体に降りかかる

随分と錆臭い

当たり前かと笑い

ああ、一突きして開いてしまった天井の隙間から目が見えた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る