第22話東のはてに

 興奮している群衆は俺達がチーを守ろうとしていると思い。

 「邪魔者を片付けろ!」

 叫び声をあげながら彼らは農具を向けて走って来た。

 フォークのようなそれを向けながらペツを刺し殺そうとしている。

 「それは、農具だ! 人を殺すものじゃねぇ」

 その器具の真ん中をボンレスハムのような手で掴み、奴隷の時に鍛えた力でねじ曲げた。

 それを持っていた男は恐れおののいて農具を地面に落とし青ざめた。

 「悪魔の所業だ!」

 その一言にやじ馬や農民がほうほうのていで逃げ出し始めた。

 「こいつらおかしいと思ったんだ、チビットもいれば双子と剣を持った女、それにこいつの格好見てみろよ、人間が着る服じゃねぇ」

 ガタガタ震えていた男は俺に指を指した。

 言われてみると俺は変な格好をしている。

 二枚に張り合わせた布その真ん中には謎の文字が刻まれている、少し剥がれかけている文字は馬の馬蹄を横にした様な字もある。

 下に履いている物と言えば青のような色、なんだか硬い材質で作られているようだ。


 ★

 チーを捕まえようとした者達は恐れおののいてみんな逃げて行った。

 チーは頭の上についているウサミミをしょんぼり倒して下を向いていた。

 丸太に座りながらこの後の事をどうすればいいのか考えていると。

「そういえばチビットが幸せになれる場所があるって聞いたよ。そこなら彼女の罪滅ぼしの仕方を教えてくれるかも」

 「かも」

 双子の言葉に俺達はそこに行くこととなった。どうやら東のはてにあるらしい。


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