第9話火の騎士
やはりこの中は馬車であった。
この中で話を聞いているうちに俺は多分のぶおによって奴隷として売られて剣闘士として戦わなければならない羽目になっているようだ。
しかもここの奴隷達はただ殺されるのを待っているだけらしい。
根本には彼らの考える信仰によって倒されるのみとなっている。
いきなり馬車がガクンと大袈裟な音をならしそのため俺とその奴隷達は一瞬揺らいでしまった。
言うなれば電車でいきなりガクンとなるあれに似ている。
少し揺れますのでお立ちの方は手すりに捕まって下さいとアナウンスがある奴だ。
後ろにあった大きな扉、かんぬきがしてあって内側から開ける事ができなかった扉がおならと間違うような、そう机の上に手を動かして摩擦によって起きるおならのような音を立てながら扉は開く。
眩しい明かりで皆目をつむる。
この馬車の中に埃がたくさんあるのが分かる。
俺達が鞭を打たれながら到着した場所は古代ローマにタイムスリップしたような大きなバームクーヘンのような形でスポンジケーキのような色をした円形闘技場であった。
見上げないと全体図が見えないほどのバームクーヘンである。
もしここに大のバームクーヘン好きがいるとしたならば喜んで小躍りしていたであろう。
だが幸か不幸かそのような者は皆いなかった誰しもこの建物を人生の終わりのお墓のように想像しているであろう。
そして楽園へと行くように努めるはずだ。
だが俺は決めたここの人々を助ける事を……。
観客席のような所に蟻の大軍のような観客達が大声で腕をふったり、楽器のような物をならしていたりしていた。
すると大きなラッパの音が聴こえてくる、静かにしろということなのであろう、観客は静まりかえった。
遠くでも見てとれる派手な赤い中世ヨーロッパの騎士の甲冑をまとっている人物が観客席より上の方からやってきた。太陽がキラリとその光を照らし、彼か彼女かは分からないがそいつが手をあげると鎧と同じように真っ赤なマントが持ち上がる。
「我、伝説の火の騎士、モルドレッド=サラマンダーの開催するこの剣闘大会、我の選りすぐりの強者の騎士団、そしてオールマイティーデスポートにより彼らは奴隷を殺しても楽園に行けるようになっておる。奴隷達は逃げるのみ。では何故このような大会があるのか……」
兜の中でニヤリとしているのか次に発した言葉は興奮しているようだ。
「人間を狩るのを見るのはゾクゾクする」
こんな中二病のような名前のわりには恐ろしい事を……。奴隷のピーツーもセイントスノーの二人も怯えてる。
待ってろ俺の作戦を信じるんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます