第3話デスポート
大体こういう可愛い女の子がウサミミを付けるべきだ、むさいおっさんがつけていたら変態である。
(そんな集団に囲まれていたのだが)
ウサギ自体可愛いのに可愛い女の子――しかもちっこい――がウサミミ付けていると最上級の可愛いであるのに異論はあるまい。
ハーレムターンがやってきた、まさにハッピーターンである。
ホイホイ彼女について行くと彼女はもじもじし始めた。
ウサミミと『ミドルドレス』が揺れる。
(可愛いなぁ、家に帰って飾りたいと思ったがあいにくこの世界では家を持っていない、前の世界では別荘を八百ほど持っていたが。まぁ嘘だけど嘘八百だけに)
すりすりとすり寄ってくるウサミミチビット、その瞬間そのかわゆい女の子輪郭がぼやけてきてそのまま意識が遠のくのを感じる。
☆
どこからともなく野太い声が聞こえてきたので俺は大きく目を見開いた。
しかし俺の手足は頑丈なあざなえる縄によって硬く結ばれていた。しかもここはなんともむさ苦しい木造の建物の中地面もフローリングでほこりが何センチか雪のように積み重なっている。
このままじゃ俺の大好きなソシャゲ『きららファンタジア』ができないと思ったがよく考えたらスマホの充電が切れていたのを思いだしどっちにしろ無理であった。
逆に暴れれば暴れるほど縄は手足に食い込んでくる。パンツみたいに。
その声の持ち主はさほど遠くにはいなかった何故なら目を開けると大きい足とリボンのついた赤い靴が見えたからである。
あのウサミミの女の子と声の感じでトロルのような野郎であろう。
「こいつが酒場で自慢してたこれ本当に……」
ウサミミチビットだ。
「ちげぇねぇデスポートだ」
トロルゴリラの声。
酒場で見せていたのは俺のスマホであろう。
どうりでデニムジーンズの後ろのポケットが軽いと思った。重力が無くなった訳ではなかった。
それにデスポートってなに?
タヌキに似たような青いロボットがポケットから出す、悪魔のパスポートなら知っているけど。
「本当に? 大体こいつがそのデスポートを持っているなんて信じられないわよ、風の騎士を含め、世界中に三人しか持ってないと言うどんな人や怪物を殺してもいいというデスポートよ、こいつはそれを自慢してたし俺の世界では馬がひかない鉄の車が走っていたりこれもスマフォとか言って遠くの人と話が出来たり手紙を送ったり小説をカクヨムに投稿できるとかほざいてたわよ」
可愛い声の後に『ウ~ム』と地響きのような削岩機のようなうなり声が聞こえ、言うなれば声版美女と野獣だと一人思う。
「酒場のみんなも信じてなかったわよ」
でも君は信じてくれたんだね。ぽっ。
「おめぇは見る目があらぁ、見ろよこれ死神の象徴の黒い犬が描かれている、モノホンだぜ」
おっさんのがらがら声で俺はハテナが頭の上に浮かんだが多分俺のスマホカバーに描かれている超人気漫画の黒い犬のキャラクター『のらくろ』の絵と推測される。
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